2008 Fiscal Year Annual Research Report
膜型マトリックスメタロプロテアーゼによる組織破壊機構の解析
Project/Area Number |
19390084
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 博 Kanazawa University, がん研究所, 教授 (00115239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝野 隆久 金沢大学, がん研究所, 准教授 (40322119)
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Keywords | MT1-MMP / 組織破壊 / MMP-2 / GDF15 / 細胞接着斑 / ERK / 細胞運動 / 分子標的 |
Research Abstract |
膜型マトリックスメタロプロテアーゼー1(MT1-MMP)の機能は潜在型MMP-2の活性化と基質切断の2つに大別できる。MMP-2活性化機構の解明とMMP-2活性化の生理的意義を明らかにする目的で、人工的なMMP-2受容体MSP-TIMP-2を考案した。MSP-TIMP-2を用いてMT1-MMPによるMMP-2活性化機構を検討した結果、MMP-2活性化に際してはMT1-MMPの大半はMMP-2受容体として働いていることが明らかとなった。また、MMP-2活性化ががんの浸潤・転移に重要な役割を果たすことも示された。 MT1-MMPの新規基質としてTGFβファミリーのGDF15を同定した。GDF15はがん細胞にがん抑制遺伝子p53、p21などを誘導して増殖を抑制するが、MT1-MMPによるGDF15の切断・分解は増殖抑制を解除して、増殖・腫瘍原性を回復させることを見出した。 我々はこれまでにMT1-MMPがコラーゲン、ファイブロネクチンなどの細胞外マトリックス成分を分解することにより、Extracellular-signal Regulated Kinase(ERK)を活性化することを見出してきた。今回、MT1-MMPを細胞接着斑にターゲットし、細胞接着斑特異的にMT1-MMP活性を阻害することにより、きわめて効率よくERK活性化、細胞運動を抑制することに成功した。MT1-MMPを分子標的とした坑転移分子開発の新たな手法として注目している。
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