2008 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴ糖脂質による生体調節における分子クラスター形成と特異性の創出機構
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19390086
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古川 鋼一 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (80211530)
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Keywords | ガングリオシド / 神経変性 / ニューロン / グリア / サイトカイン / 補体 / ノックアウト / GM3 |
Research Abstract |
スフィンゴ糖脂質による生体調節における分子クラスター形成の意義と機構の解明のため、以下の実験を行って、新しい知見を得た。 1.種々のガングリオシド欠損マウスにおける膜ミグロドメインにつき、スクロース密度勾配超遠心による蛋白質の分画とGPI-アンカー蛋白質の免疫組織染色により検討した結果、欠損糖脂質の範囲に応じた異常が認められた。 2.GD3合成酵素KOマウス、GM3合成酵素KOマウスでは、ラフトマーカーであるflotillinの局在に大きな変化は認められなかった。 3.複合型ガングリオシドを欠損するGM2/GD2合成酵素KOマウスでは、9-O-アセチルGD3が著明に発現しており、KOにおける代償作用が示唆された。また、初代培養アストロサイトにより、野生型マウスでも9-O-アセチルGD3を合成しうることが確認された。 4.ダブルKOマウスにおける遺伝子発現プロフィールから、炎症・免疫関連遺伝子の発現が亢進しており、とくに補体系遺伝子(補体成分、補体受容体)の発現亢進を認めた。 5.スクロース密度勾配超遠心により分画後、GPI-アンカー蛋白質の細胞内局在を検討し、flotillinおよび補体制御因子CD55の、非ラフト画分への移行が認められた。 6.免疫組織化学的解析によりflotillihやCD55の分布を検討した結果、ダブルKOマウスで膜染色パターンの異常が認められた。即ち、膜に局在するflotillinやCD55が細胞質にも染色され、膜のintegrityの消失が示唆された。 7.GM2/GD2合成酵素KOマウスの海馬スライスを用いて、LTP(long-term potentiation)を測定したところ、基本的に学習能の低下を示唆する結果が得られた。
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Research Products
(6 results)