2008 Fiscal Year Annual Research Report
シトリン欠損症の分子遺伝学と多彩な病態発症に関わる遺伝要因と環境要因の探索
Project/Area Number |
19390096
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小林 圭子 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (70108869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 幹雄 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (00305111)
佐伯 武頼 徳島文理大学, 健康科学研究所, 教授 (10056070)
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Keywords | citrin / SLC25A13 / 成人発症II型シトルリン血症(CTLN2) / 胆汁うっ滞性新生児肝炎(NICCD) / aspartate-glutamate carrier / NADH shuttle / malate-aspartate shuttle / glycerophosphate shuttle |
Research Abstract |
本研究の目的は、多彩な病態像を示すcitrin欠損症を分子遺伝学的に診断し、CTLN2と肝癌に焦点をあてた病態発症の分子機構と要因を明らかにし、治療・予防法の開発に応用することである。研究成果を下記に列挙する。 (1)Citrin欠損症の診断:SLC25A13遺伝子上にこれまで52種の変異を同定し、国内外の多数のcitrin欠損症(日本人425例、中国人90例、韓国人16例、ベトナム人19例、マレーシア人5例、タイ人2例、白人・ユダヤ人・パキスタン人・イスラエル人など14例)を分子遺伝学的に診断した。 (2)SLC25A13変異頻度検索:東アジア人症例では共通して変異851de14が高頻度に存在した。日本人症例で同定した新規retrotransposal insertion(IVS16ins3kb)変異は、中国・韓国人症例でも比較的高頻度に検出されたが、さらに興味あることに、ベトナム人ならびにマレーシア人症例にも認められた。 (3)病態像の把握と病態発症に関わる環境要因の検討:検診で見つかったCTLN2症状のない肝癌症例が、肝癌摘出手術直後高アンモニア血症を呈し、特異な食癖・脂肪肝からアミノ酸分析・遺伝子診断を行った結果、citrin欠損症であった。高アンモニア血症発症には、肝臓病食(糖質70%)の投与が関わっているものと推察する。 (4)Citrin欠損による酸化還元ストレスと肝癌発症機構の解析:Citrin欠損症(NICCD>見かけ上健康>CTLN2)では見かけ上健康な時期でも、血中酸化型LDLや尿中酸化ストレスマーカーが上昇していることを見いだした。一方、4種のマウス(wild-type、 citrin-KO、 mGPDH-KO、 double: citrin/mGPDH-KO)に鉄過剰食と普通食を与えて半年間経過観察しているが、他のマウスの体重は25g前後であるのに対して、鉄過剰食投与double-KOマウスのみにおいて、体重増加が見られない(現在10g前後)という結果を得ている。
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