2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト前立腺の組織幹細胞を用いた癌化の分子メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
19390104
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
小西 登 Nara Medical University, 医学部, 教授 (20145832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 啓司 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90336850)
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Keywords | 前立腺 / 癌化 / 組織幹細胞 / senescence / transient amplifying cell |
Research Abstract |
癌化のメカニズムとしてcancer stem cellの存在が提唱され、癌治療の新しいtargetとして注目されている。本研究は、前立腺癌における発癌や癌進展メカニズムを解析することを目的として、前立腺におけtransient amplifying(TA)cellsに着目し、特にsenescence回避機構を検討した。前立腺全摘出術が施行された組織から非癌部を採取し、各種マーカーを用いてTA cellsをMACS beadsによって分離した。TA cellsはstem cellと異なり増殖活性が高く、本細胞から分泌細胞へと分化する。TA cellsをさらに長期間にわたって培養し、継代を続けると、ごく一部のクローンはsenescenceを回避し、増殖活性を再び獲得することが分かった。senescence関連分子であるp53,p21,p16およびRbの発現を解析した結果、senescenceを回避したクローンではp16の有意の低下が認められ、junB発現と有意に相関していた。TAC cellsにsiRNAを用いてjunBをknock downすると、p16/pRbの不活性によるsenescenceを回避が認められたChorioallantoic membrane invasion(CAM)assayでもjunBの抑制が浸潤能を高めた。ヒト前立腺癌の検体を用いた検索においては、junBの発現低下は予後の悪い高Gleasonスコア値とよく相関した。興味深いことに、senescenceを回避できるクローンは、癌発生頻度の高いperipheral zone由来のTA cellsにおいてより高率に観察された。以上の研究結果は、junB発現の維持、誘導が前立腺癌発生に抑制的に機能する可能性を示唆しており、発癌予防上の新しいtargetになると期待される。
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Research Products
(12 results)