2007 Fiscal Year Annual Research Report
胃発癌過程でのPGE2によるWntシグナル活性化へ及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
19390111
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大島 正伸 Kanazawa University, がん研究所, 教授 (40324610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 浩子 金沢大学, がん研究所, 助教 (80362515)
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Keywords | Wnt / PGE2 / 胃癌 / マウスモデル / 炎症 |
Research Abstract |
Wntシグナルは正常腸上皮細胞の未分化性維持に重要と考えられており、APC遺伝子やβ-catenin遺伝子の変異によるWntシグナルの異常亢進は、大腸癌発生の主な原因である。一方、腫瘍組織でのCOX-2発現誘導による炎症性プロスタグランジンPGE_2の産生誘導が消化器癌発生に重要である事も明らかにされている。しかし、この二つのシグナルがどのような相互作用により発癌に関与しているのかは、未だ不明な点が多い。本研究では、双方のシグナルを胃粘膜で活性化した胃がんを自然発生するトランスジェニックマウス(K19-Wntl/C2mEマウス)を用いた解析と、Wntシグナルレポーター細胞も構築して使用しながら、PGE_2経路の誘導によるWntシグナル活性化機構を明らかにする。 今年度は、胃がんモデルのKl9-Wntl/C2mEマウスと、PGE_2誘導により胃炎を発症するKl9-C2mEマウスの胃組織から抽出したRNAを用いて、遺伝子発現解析を中心に行なった。これまでに、PGE_2シグナルに依存的にSFRPファミリーの発現が抑制されている事が明らかとなった。SFRPは内在性のWntシグナル抑制因子であり、大腸癌や胃癌では広くメチル化により発現抑制されている。したがって、PGE_2はSFRPの発現抑制によりWntを亢進している可能性が示唆された。また、TCF結合領域にEGFP遺伝子をつないだWntレポータープラスミドを構築し、複数の胃癌細胞株に導入した。この細胞株をPGE_2で刺激してもWntシグナルの亢進は認められなかった。したがって、PGE_2の受容体を介した直接の刺激がWntに関与していない可能性が考えられた。今後、この細胞株を使ってPGE_2依存的に発現誘導される因子が、SFRPの発現抑制によるWnt亢進に作用している可能性について解析を続ける。
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Research Products
(14 results)