2008 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞システム制御機構におけるリン酸化シグナルの機能解析
Project/Area Number |
19390113
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 透 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (50280962)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北島 健二 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (10346132)
|
Keywords | Akt / 幹細胞 / 軟骨 / 間葉系幹細胞 / 初期化 / 生殖細胞 / ES細胞 |
Research Abstract |
幹細胞は、自分自身をつくりだす「自己複製能」と、機能的な分化細胞をつくりだす「分化能」を合わせもつ細胞である。本年度、我々は、以下の3つ幹細胞システムにおいて、リン酸化酵素PI3K(Phosphoinositide-3 kinase)/Aktシグナルが担う機能について解析をおこなった。 1、間葉系幹細胞からの分化誘導系において、Aktシグナルを活性化させると、軟骨の最終分化が抑制された。一方、PI3K/Aktシグナルを阻害すると、軟骨最終分化は促進した。さらに、このPI3K/Aktシグナルによる作用は、胎仔骨を用いた初代器官培養系においても観察された。正常の軟骨の最終分化において、PI3K/Aktシグナルが抑制されることから、このシグナルが軟骨の最終分化を制御するシグナルであることが明らかとなった。 2、これまでに、PI3K/Aktシグナルの活性化が、マウスや霊長類において胚性幹細胞(ES細胞)の分化多能性を支持することを明らかにしている。本年度は、PI3K/Aktシグナルの活性化が、生殖細胞からES細胞様の幹細胞を生み出す効率を促進することを明らかにした。 3、次に、PI3K/Aktシグナルの活性化が、ES細胞がもつ体細胞核の初期化に及ぼす影響を解析した。その結果、PI3K/Aktシグナルの活性化は、ES細胞と細胞融合を行った際の体細胞核の初期化効率を促進することを示し、このシグナルが多能性幹細胞の様々な局面で未分化性を制御できることを明らかにした。
|