2009 Fiscal Year Annual Research Report
マウスを用いたDNAおよび遊離ヌクレオチドの品質管理機構欠損の分子病態解析
Project/Area Number |
19390114
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土本 大介 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 助教 (70363348)
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Keywords | DNA酸化損傷 / 遊離ヌクレオチド損傷 / 遺伝子改変マウス / 細胞死 / 発がん / 神経変性 |
Research Abstract |
(1) ATPの塩基部位脱アミノ化体であるイノシン三リン酸(ITP)を一リン酸型へと分解する酵素ITPAに関し、ITPAタンパク質をコードするItpa遺伝子を欠損するマウスが生後2週間後までに死亡し、発育不全と心機能異常を示すことを明らかにし、Cell Death and Differentiation誌において発表した。 (2) ITP結合タンパク質の網羅的探索により新たなイノシンヌクレオチド分解酵素ヒトNUDT16タンパク質を同定した。NUDT16タンパク質が強い(デオキシ)イノシン二リン酸((d)IDP)分解活性と弱い(d)ITP分解活性を持つことと、NUDT16のノックダウン発現抑制によりHeLa MR細胞が増殖抑制と核ゲノムDNAの不安定化を示すことを明らかにしNucleic Acids Research誌において発表した(印刷中)。 (3) 上記ITPA欠損マウス由来の初代繊維芽細胞において増殖速度の低下と染色体不安定化、ssDNA抗体に対する反応部位の増加を観察し、継代による細胞不死化の過程でこれらの異常表現型が消失すること、ならびにその消失がマウスMUDT16の発現上昇に依存していたことからイノシンヌクレオチドによる細胞障害を哺乳動物細胞ではITPAとNUDT16という2種類の酵素により防いでいることを明らかにし、Nucleic Acids Research誌において発表した。 (4) ATPの酸化体2-OH-ATPを分解する活性を持つMTH1を欠損したマウス由来の繊維芽細胞を用い、ヌクレオシド型である2-OH-adenosineをこの細胞の培地に加えるとp38MAPKリン酸化に依存する細胞増殖抑制および細胞死が誘導されることを明らかにした。
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