2009 Fiscal Year Annual Research Report
臨床分離腸球菌の細菌叢定着因子(バクテリオシン)の研究
Project/Area Number |
19390123
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
池 康嘉 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 教授 (60125820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 治芳 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70282390)
井上 貴子 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00431700)
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Keywords | 病原性 / 腸球菌 / バクテリオシン / バクテリオシン遺伝子 / 分子遺伝 |
Research Abstract |
バクテリオシンは細菌の生産する蛋白で、同種、異種の細菌を殺菌する作用がある。バクテリオシン生産菌は非生産菌を殺菌することにより、細菌叢において生存に有意となる。この性質により、バクテリオシンは細菌の細菌叢における定着因子(病原性因子)の一つと考えられている。臨床分離腸球菌(E.faecalis,E.faecium)のバクテリオシンを系統的に調べ、これまでに研究されてきたE.faecalisのβ-Hly/Bac,Bacteriocin21(AS-48)とは異なる新型バクテリオシンを発見し、研究を続けている。本年度はE.faecalisにのみ活性のある(1)Bac41、E.faecium,E.hirae,E.durausに活性のある(2)Bac32、(3)Bac51の研究を行った。 (1)Bac41 E.faecalisで発見されたバクテリオシンであるbacL_1,bacL_2,bacA,bacIで構成されるオペロンで、BacL1がBacAにより細胞外で活性化される。bacL2がbacL1の調節蛋白であること、bacAとbacIに多様性があること、Bac41型バクテリオシン遺伝子は臨床分離E.faecalisの約90%が保持しており、E.faecalisに特異的なバクテリオシンであることが解った。 (2)Bac32 E.faeciumで発見され、E.faeciumの臨床分離株に特異的なバクテリオシンで、臨床分離株の40%で生産する。Bac32蛋白を精製し、Bac32の蛋白のアミノ酸配列を決定し、また、機能解析し、pore formingバクテリオシンであることが解った。 (3)Bac51 E.faeciumで発見された新型のバクテリオシンで、その遺伝子構造と発現機構を解析した。 いずれの研究も日本細菌学会で報告し、現在論文作成中である。
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