2008 Fiscal Year Annual Research Report
バイオテロを含むボツリヌス中毒への新しい対策の確立と毒素の治療への応用
Project/Area Number |
19390126
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小熊 惠二 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00002262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 憲治 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 准教授 (00243460)
綾田 潔 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00379835)
阪口 義彦 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70403491)
山本 由弥子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20403496)
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Keywords | 細菌 / 感染症 / 蛋白質 / 医療・福祉 / 食品 |
Research Abstract |
ボツリヌス菌や毒素の簡単な検出方法と毒素の治療への応用、毒素による治療を行った際に時に産生される微量の抗毒素抗体の検出方法を検討した。菌の検出法としては、A〜F型毒素遺伝子を増幅できるPCR用のプライマーを2種類(2セット)開発した。1つはnon-toxic non-HAの特定の配列を利用し500〜600bpのプロダクトを得るものであるが、これではF型菌の一部において増幅されないものが認められた。2つ目は神経毒素の軽鎖と重鎖の配列を利用し約2,000bpのプロダクトを得る方法であるが、両領域は各毒素間で多少塩基配列が異なることからmix primerを開発したところ、上記のF型菌も含め全ての菌でプロダクトが得られた。今後はこれらのPCRで、食品中に存在する芽胞の検出を試みる予定である。毒素自体の検出法としてはイムノクロマト法を開発したが、多少感度が低いので、毒素をラクトースゲルカラムや抗HA抗体を利用して濃縮する方法を検討中である。微量抗体の検出法としては、重鎖のC端側約5万の領域をHis-リコンビナントタンパク質として作製し、これをニッケルカラムに結合させた後、検体(血清)を流し、抗体を濃縮して検出する方法を開発した。毒素の応用としては、精製A型神経毒素とラットを用い、三叉神経痛および前立腺肥大症への適用を検討した。前者では眼窩下の神経を圧迫して起こした三叉神経障害に対して、近くの部の皮下に接種した毒素は治療効果があることを、後者では、毒素をラットの前立腺に接種すると、上皮中に存在するsynaptophysin陽性細胞が減少し前立腺が小さくなることを認めると共に、10名の軽度の前立腺肥大症の患者に投与し良い治療効果を得た。その他、ボツリヌスC2毒素遺伝子が存在するプラスミドの全塩基配列の決定や、C型の赤血球凝集素(HA)の構成成分であるHA3の3次構造の決定を行った。
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