2007 Fiscal Year Annual Research Report
HIV感染における細胞性免疫応答と抗原提示とのダイナミクスの解明
Project/Area Number |
19390130
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩本 愛吉 The University of Tokyo, 医科学研究所, 教授 (10133076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立川 愛 東京大学, 医科学研究所, 助教 (10396880)
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Keywords | HIV / 細胞傷害性T細胞(CTL) / HLA / 抗原認識 / HIV病態進行 / エピトープ |
Research Abstract |
HIV感染で生体防御に働いている細胞傷害性Tリンパ球(CTL)に対して、HIVは抗原性を変化させることでその選択圧から逃れている。CTLによって認識される抗原はHLA型によって異なり、HLA型が病態進行に影響を与える可能性が示唆されている。本研究はHIV抗原(エピトープ)の質の変化と、変化したエピトープに対するCTLの性状を明らかにすることを目的とした。本年度はCTLの働きが集団レベルに及ぼす影響について解析するため、HLA遺伝子型と臨床像の関連性を調べた。遺伝子頻度が高いHLA型では感染者間でHLAを共有する可能性が高く、CTLの選択圧から逃れた変異を持つウイルスに感染する可能性が高いと考えられる。日本人におけるA24の遺伝子頻度は世界でも他に例を見ないほど高いため、集団レベルでの臨床像(HIV量)に何らかの影響を与える可能性がある。しかしながらA24陽性者、陰性者間でHIV量に有意な差は見られず、現時点ではA24による影響は少ないことが示唆された。一方で、遺伝子頻度がある程度高く、病態進行遅延に関与しているHLA陽性の感染者でのみ、年代とともにHIV量の増加が見られた。HIVの抑制に寄与していたエピトープにCTLからのエスケープ変異が集団レベルで蓄積した結果、そのCTLによるHIV抑制効果が減弱しつつあることが示唆された。また、HLA-A24拘束性のHIV-Nefタンパク質由来のCTLエピトープに注目し、感染者のHIVの遺伝子解析を行ったところ、ほとんどのA24陽性者でエピトープ内に特定のアミノ酸変異を有しており、抗原に質的変化が見られた。また、このエピトープ特異的なCTLの性状を明らかにするために、野生型と変異型のエピトープを提示するHLAクラスIテトラマーを作成し、同時に染色することで野生型と変異型に対する認識能が異なるCTLを分画する系を確立した。
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Research Products
(20 results)