2008 Fiscal Year Annual Research Report
レトロウイルスの病原性発現を規定する責任宿主因子の研究
Project/Area Number |
19390131
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
西垣 一男 Yamaguchi University, 農学部, 准教授 (20401333)
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Keywords | レトロウイルス / 病原生 / ウイルス発ガン / シグナル伝達 / マウス白血病ウ / 猫白血病ウイルス / ウイルス発現 / 白血病 |
Research Abstract |
1. spleen focus-forming virus (SFFV)は感受性マウスに赤白血病を引き起こす。この発生メカニズムは、細胞内の様々なシグナル伝達分子を活性化することによると考えられる。本年度は、ウイルスによって活性化される分子のうち、PI3-キナーゼとウイルス性白血病発生についての役割を検討した。マウスはPI3-キナーゼのサブユニットp85αノックアウトマウスを用いて評価を行った。その結果(1)Sf-stk分子依存性に赤白血病を引き起こすウイルスでは、赤白血病発生は有意に減少した。(2)sf-stk分子非依存性に赤白血病を引き起こすウイルスでは、p85αの重要性については認められなかった。(3)p85α欠損胎児から線維芽細胞を作成し、SFFVを感染させたところ、細胞はトランスフォーメションを示した。しかし、細胞の増殖はコントロール細胞(+/+)と比較して明らかに緩やかであった。(4)p85α欠損マウスにおいては、成熟マウスにおける赤血球造血は正常であるが、ストレス性赤血球造血においては、明らかに造血反応がきわめて低下していた。以上の結果から、マウス生体における、PI3-キナーゼとウイルス発ガンおよびストレス性赤血球造血について新規な所見を得た。2.我々が単離したネコ白血病ウイルス(FeLV)分子クローン33を猫へ感染実験を行ったところ、22頭中9頭において骨髄異形成症候群(MDS)ならびに急性骨隨性白血病を引き起こすことが判明した。ウイルス感染猫はすべての猫において発症を示したわけではなく、発症に関しては遺伝的な背景が存在し、病原性発現を規定する宿主側の因子の存在が明らかになった。
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