2007 Fiscal Year Annual Research Report
単純ヘルペスウイルスの成熟と核外輸送・細胞外排出機構についての研究
Project/Area Number |
19390132
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西山 幸廣 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (60115615)
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Keywords | 単純ヘルペスウイルス / 増殖機構 / 核マトリックス / 核外輸送 |
Research Abstract |
HSVは感染によって核・核膜構造をリモデリングしていると考えられる。我々は核構造タンパク質のひとつであるNuMA (nuclear mitotic apparatus) proteinに着目し感染における動態解析を行った。NuMAは非感染細胞では核小体をのぞく核内にほぼ均一に存在するが、感染が進むにつれて可溶化し核中央の密度が減少するとともに核内膜直下に集積すること、リン酸化されることを見出した。この変化はPAAによって阻害されたことから、ウイルスDNA合成に依存していることが示された。またsiRNAを用いてNuMAの発現を抑制した細胞では、ウイルス増殖が抑制されることがわかった。以上の結果はNuMA及びその変化がHSV増殖に重要な役割を果たしていることを示唆している。 US3プロテインキナーゼ(PK)をコードするアクセサリー遺伝子で、カプシドの核外輸送、アポトーシス抑制、細胞骨格系制御、免疫機構からの回避など多面的な作用をもつ。HSV-1およびHSV-2の野生株およびUS3欠損株(ΔUS3)の感染による宿主遺伝子(約5万4千)の発現の変化をマイクロアレイを用いて網羅的に解析した。その結果、HSV-1、 HSV-2、野生株とΔUS3の感染細胞間で遺伝子発現プロファイルが有意に異なること、ΔUS3感染で特異的に発現量が上昇する宿主遺伝子があることが判明した。また、HSV-1に比べHSV-2の方がhost shutoff能が高いことが知られているが、感染後期においても4倍以上発現上昇が認められる宿主遺伝子数は予想に反してHSV-2感染細胞の方が有意に多いことが判明した。
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