2008 Fiscal Year Annual Research Report
培養系を用いたE型肝炎ウイルスの性状分析と増殖機構解明
Project/Area Number |
19390134
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
岡本 宏明 Jichi Medical University, 医学部, 教授 (30177092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 利典 自治医科大学, 医学部, 講師 (30146154)
高橋 雅春 自治医科大学, 医学部, 講師 (70326841)
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Keywords | E型肝炎ウイルス / 細胞培養 / 感染性cDNAクローン / モノクローナル抗体 / 蛍光抗体法 / ORF3欠損変異ウイルス / ORF3抗原 / 放出機構 |
Research Abstract |
培養上清中に放出されたHEV粒子は血清中HEV粒子と同様に、ショ糖液中での浮上密度が1.15g/mlと軽く、糞便中のHEV粒子(1.26-1,27g/ml)と異なり、その表面に細胞膜成分とともにORF3蛋白を有すること、そしてそれら細胞膜成分とORF3蛋白は界面活性剤と蛋白分解酵素による処理によって除かれ、糞便中HEV粒子様の浮上密度を有する粒子に変わることを明らかにした。また、A549細胞とPLC/PRF/5細胞において、糞便由来野生株(JEO3-1760F)と同等の感染性と増殖能を有する感染性cDNAクローン(pJE03-1760F/wt)を構築することができた。加えて、ORF3の開始コドン(ATG)をGCAに置換した変異ウイルス(pJEO3-1760F/ΔORF3)では、細胞内でのORF3蛋白の発現が認められないことを抗HEV ORF3モノクローナル抗体(TAO536)を用いたWesternblot法およびIFA法によって確認した。 そして、その上でこのORF3欠損変異ウイルスでは細胞内でのHEV RNAレベルが野生株と同等でありながら、培養上清中への子ウイルスの放出が認められないことを明らかにした。以上の研究結果から、これまで機能が不明であったORF3蛋白はHEV粒子の放出に必須であり、放出された粒子上に細胞膜成分とともに構造蛋白の一つとして存在していることが明らかになった。これらの研究成果は、増殖機構や放出機構のさらなる解明に役立つものと期待される。
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