2007 Fiscal Year Annual Research Report
コロナウイルスの受容体非依存性感染機構と病原性に関する研究
Project/Area Number |
19390135
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
田口 文広 National Institute of Infectious Diseases, ウイルス第3部, 室長 (30107429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白戸 憲也 国立感染症研究所, ウイルス第3部, 研究員 (40415477)
渡辺 里仁 国立感染症研究所, 創価大工学部, 教授 (30129746)
平井 明香 国立感染症研究所, ウイルス第3部, 研究員 (50450557)
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Keywords | コロナウイルス / ブタ伝染性下痢ウイルス(PEDV) / 乳飲みマウス / 脳内継代 / スパイク(S)蛋白 / 病原性 |
Research Abstract |
一般に、ウイルスは標的細胞の特異的受容体を介して細胞内侵入するが、受容体を介さない感染(受容体非依存性感染、RIIと略す)が存在することも報告されている。本研究では、RIIのモデルとして、ブタコロナウイルスを用いた研究を行った。コロナウイルスは種特異性が高く、固有宿主以外の動物に感染することは稀だが、幾つかのコロナウイルスは乳飲みマウスへの脳内接種によりマウス脳内で増殖可能となることが知られている。この様な性質を獲得したコロナウイルスは、本来の受容体とは異なるマウス脳内の分子を利用できるようになった可能性と、受容体非依存性に感染できるRII活性を持った可能性が考えられる。本年度はブタコロナウイルス(ブタ流行性下痢ウイルス、PEDV)を用いて研究を進めた。PEDVをマウス乳飲みマウスを用いて脳内継代すると、マウスに馴化したウイルス株が獲得された。10回継代したウイルスは、継代前の親ウイルスと比べ、マウスに対する神経病原性が高く、感染マウスは神経症状を示して死亡することが明らかにされた。コロナウイルスの病原性は、粒子表面スパイク(S)蛋白に依存することが高いので、親株と継代ウイルスのS蛋白の塩基配列を比較したところ、4個のアミノ酸変異が認められた。S蛋白発現系で検討したところ、変異S蛋白がより強い細胞変成効果(細胞融合)を示したことから、S蛋白が病原性に関与している可能性が示唆された。今後、親株及び変異株が乳飲みマウス脳内で認識する受容体について検討したい。
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Research Products
(6 results)