2008 Fiscal Year Annual Research Report
腸管局所樹状細胞における抑制性シグナルの同定と炎症性腸疾患
Project/Area Number |
19390137
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
本田 賢也 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (60334231)
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Keywords | 粘膜免疫 / 樹状細胞 / イメージング / インターロイキン / サイトカイン |
Research Abstract |
腸管樹状細胞には、活性型樹状細胞集団と抑制型樹状細胞集団が存在するというエビデンスが報告されているが、おのおのの集団におけるシグナル制御メカニズムの解析は、その単離の困難さが障害となっている。そこで、腸管樹状細胞を機能的に細分化し、シグナル伝達機構を明らかにし、炎症性腸疾患との関わりを検討することを目的として研究を推進した。まず、様々な抗体を用いたFACS解析及び免疫組織染色→Sorting→機能解析、というサイクルを繰り返し、新たにCD70が活性化型と抑制型樹状細胞を区別するバイオマーカーとして利用できることが明らかにした。CD70は、消化管粘膜固有層特異的に存在する樹状細胞集団の一部において高発現しており、他の臓器にはそのような細胞を認めなかった。更にCD70陽性粘膜固有層樹状細胞は、細胞外ATPの受容体であるP2XやP2Y受容体を高発現しており、実際ATP刺激に対して、IL6,IL23p19等の炎症性サイトカインとともに、TGFβ活性化に関わるIntegrinaV,β8を強く発現するようになること、その際、共培養したナイーブCD4T細胞をTH17細胞へと分化させることも見出した。即ちCD70陽性粘膜固有層樹状細胞は、IL17を高産生するTH17細胞を強く誘導する“活性化型樹状細胞"であると考えられた。これらを論文として発表した(Nature.455:808-12,2008).一方CD70陰性粘膜固有層樹状細胞は、制御性T細胞を誘導しやすい、“ 抑制型樹状細胞 "であると考えられるデータも得られた。すなわち、免疫抑制性サイトカインであるIL-10遺伝子領域にYFP(Venus)をknock-inしたマウスを作製し、詳細に検討したところ、消化管粘膜の多くの制御性T細胞がVenus陽性であり、CD70陰性粘膜固有層樹状細胞がその分化に関与していることを示唆するデータを得た。CD70陰性粘膜固有層樹状細胞の内、どういった樹状細胞が、どういった分子メカニズムで制御性T細胞を誘導しているのかを更に検討し、腸内細菌の刺激が重要であるというデータを得た。
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Research Products
(5 results)