2007 Fiscal Year Annual Research Report
レセプターシグナル伝達系の再構築によるB細胞増殖・分化制御
Project/Area Number |
19390141
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
北村 大介 Tokyo University of Science, 薬学部, 教授 (70204914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白鳥 行大 東京理科大学, 生命科学研究所, 助教 (90379090)
野嶋 卓也 東京理科大学, 生命科学研究所, 助教 (10434036)
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Keywords | シグナル伝達 / 細胞増殖 / B細胞分化 / Bリンパ球 / 抗原受容体 / プレB細胞レセプター |
Research Abstract |
B細胞初期および後期分化を誘導・制御する抗原受容体(pre-BCRおよびBCR)からのシグナルは細胞の分化・増殖に伴う様々なイベントを引き起こす。その多様なシグナルを厳密に制御するためには、多数の異なるシグナル経路が存在すると考えるよりも、分化過程あるいは活性化に伴って限られた数の構成因子が再構成することによってシグナル伝達経路が順次再構築されると考えた方が理解しやすい。これを検証するために、シグナル再構築の過程を分子レベルで明らかにし、B細胞分化と増殖の制御機構を本質的に理解することを目標とする。pre-BCRシグナルによる増殖・分化制御を調べるために、BLNK欠損マウスに発生したプレB細胞白血病由来の細胞株(BKO)を用いた。BKO細胞にBLNKを導入するとL鎖遺伝子再構成、L鎖発現、pre-BCR発現低下といった分化と増殖停止が起こる。BKO細胞の増殖は自ら発現するIL-7のオートクラインによることが分かっている。この増殖にはJak3-STAT5経路が活性化することが必要であり、BLNKはJak3と結合し、その活性を抑制することが明らかになった。BLNK欠損マウスのプレB細胞の増殖がin vivoでは抑制されているのに対し、in vitroのIL-7培養系では亢進している事実と合わせて考えると、in vivoでは何らかのリガンドがpre-BCRに結合しており、その状態ではBLNKは細胞増殖促進シグナルを伝えるが、増殖後リガンドから離れたpre-BCRは自己架橋し、その場合はBLNKはpre-BCRのエンドサイトーシスを誘導すると同時にJak3の活性を抑制すると考えられた。BKO細胞内でBLNK-ERをタモキシフェンにより活性化させた場合、pre-BCR発現低下と分化は起こるが増殖停止は起こらないことから、BLNKのC末端側がJak3の抑制に必要であると思われる。一方、BLNKによる分化誘導にはPKCηが必要であることが明らかになった。
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