2008 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疼痛による不快情動ストレス蓄積における神経伝達物質輸送体ニトロシル化の役割
Project/Area Number |
19390149
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
南 雅文 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 教授 (20243040)
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Keywords | 嫌悪反応 / 扁桃体 / 分界条床核 / ノルアドレナリン / マイクロダイアリシス / 条件付け場所嫌悪性試験 / トランスポーター / NO |
Research Abstract |
痛みによる不快情動生成とその制御メカニズムを明らかにするため、分界条床核の役割に関して研究を進めた。腹側分界条床核内におけるβアドレナリン受容体を介したノルアドレナリン神経情報伝達の亢進が痛みによる不快情動生成に重要な役割を果たしていることを明らかとした昨年度の研究をさらに推し進め、βアドレナリン受容体がG_s共役型受容体であることに着目し、アデニル酸シクラーゼ(AC)-プロテインキナーゼA(PKA)系活性化の不快情動生成における役割を検討した。PKA阻害剤Rp-cAMPSの分界条床核内投与により、痛みによる不快情動生成が抑制されることを示し、分界条床核におけるβアドレナリン受容体-G_s-AC-PKA系の情報伝達活性化が痛みによる不快情動生成に重要な役割を果たしていることを明らかとした。さらに、AMPA型およびNMDA型グルタミン酸受容体拮抗薬、および、神経型NO合成酵素阻害薬、NOスカベンジャーの分界条床核内投与が、痛みによる不快情動生成を抑制することを明らかにし、痛みによる不快情動生成に、分界条床核内グルタミン酸受容体活性化により産生されるNOが関与していることを示した。今後は、痛みによる不快情動生成機構においても、βアドレナリン受容体-G_s-AC-PKA系とグルタミン酸受容体-NO系がどのように相互作用しているかを検討するとともに、そこでのタンパク質ニトロシル化の役割を明らかにする必要があると考えられる。
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