2007 Fiscal Year Annual Research Report
多戦略的プロテオーム・ペプチドーム解析による消化器癌の早期診断法の開発と実用化
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19390154
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野村 文夫 Chiba University, 大学院・医学研究院, 教授 (80164739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝長 毅 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (80227644)
小寺 義男 北里大学, 理学部, 講師 (60265733)
根津 雅彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (90322461)
曽川 一幸 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (50436440)
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Keywords | プロテオーム / SELDI / 膵癌 / Apo-C1 |
Research Abstract |
膵癌は消化器系の悪性腫瘍の中でも,とくに早期診断が困難であり,従来の血清腫瘍マーカーの早期癌における陽性率は低い。そこで表面増強レーザー脱離イオン化(SELDI)と飛行時間型質量分析計(TOF MS)を組み合わせたSELDI-TOF MSによるあたらしい腫瘍マーカーの探索を試みた。外科的切除が施行された膵癌20症例の術前・術後(2週以降)のペア血清における蛋白質,ペプチドの比較発現解析を行ったところ,計85のピークでその強度に変化がみられた。その中で,とくに発現量が多く,また術前後の変化が際立っていたのは6.6kDaと6.4kDaの2つであった。そこでこれらのピークを対象に,複数のHPLCステップによる部分精製の後,アミノ酸配列を決定した結果,6.6kDaはmature typeのアポリポ蛋白C-1,6.4kDaはそのN末端の二つのアミノ酸が欠損するtruncated formであることがわかった。さらに,膵癌患者の術前後における血清Apo-C1レベルの変化が膵癌細胞由来であることを確認するために,膵癌組織と非癌部組織におけるApo-C1の蛋白質およびmRNAの発現レベルを比較したところ,いずれも癌部において著明に発現が増加していることが確認された。また,プロテオーム解析の対象とした膵癌症例をApo C-1高値群と低値群に分けて,生存曲線を比較したところ,高値群であきらかに予後不良であることがわかった。ProteinChip Systemは臨床検体のプロテオーム解析を可能とした画期的な方法であるが,その解析精度には一定の限界がある。そこで,現在はチップの代わりにビーズを用い,質量分析部もより高性能のMALDI-TOF/TOFを用いて膵癌の新たなマーカー探索を進めると同時に,今後その他の消化器系悪性腫瘍も解析対象とする予定である。
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