2008 Fiscal Year Annual Research Report
インジウム新素材におけるインジウム肺発症の実験的研究
Project/Area Number |
19390164
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 昭代 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 講師 (10136484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 美由紀 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (30156674)
古閑 一憲 九州大学, 大学院・システム情報研究院, 助教 (90315127)
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Keywords | 衛生 / 環境 / 社会医学 / インジウム / 間質性肺炎 |
Research Abstract |
今年度は、粒子径の異なるITO研削粉とITO超微粉をラットの気管内に2週間にわたって反復投与し、投与終了2週後までの各ITO粒子の肺への影響、生体内動態について評価した。 【実験方法】実験群は3群設定し、ITO研削粉群、ITO超微粉群および対照群である。各ITO粒子は滅菌蒸留水に懸濁し、1回投与量はITOとして10mg/kgであり、対照群は滅菌蒸留水のみ1ml/kgを投与した。各ITO粒子は、Wistar rat(SLC,メス,8週齢)の気管内に週2回、計5回、2週間にわたって反復投与した。各群最終投与日の翌日(0週)、1週、2週に血清中インジウム濃度および肺障害の進展について検討した。各時点のラットの血清中の金属濃度について血清を酸で灰化後、ICP-MSを用いて測定した。肺の病理評価は2週目でのみ行った。 【結果】体重の推移に関し、各ITO群で投与期間および観察期間で対照群と同様の推移を示し、有意な差は観察されなかった。各時点でのITO研削粉群およびITO超微粉群の相対肺重量は、対照群に比べて有意に上昇し、さらに、ITO超微粉群はITO研削粉群に比べて、有意に上昇していた。血清中のインジウム濃度に関し、各時点でITC超微粉群はITO研削粉群の約10倍の濃度を示した。両ITO群とも経時的に血清中インジウム濃度は上昇した。肺の病理学的評価では各ITO群で肺の炎症性変化を主体とする病変が観察され、ITO超微粉群はITO研削粉群に比べて肺病変の程度は強く発現した。 【考察】今回、同用量の2種類のITOを気管内に反復投与を行い、その結果、粒子径が小さいITO超微粉がITO研削粉に比べて血清中インジウム濃度が高く、さらに肺病変が強く発現した。ITOの粒子径の違いにより血清中インジウム濃度や肺病変の発現に違いが観察されたことはインジウムによる生体影響には化学形態に加えて、粒子径についても留意する必要があると考えられた。
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