2009 Fiscal Year Annual Research Report
インジウム新素材におけるインジウム肺発症の実験的研究
Project/Area Number |
19390164
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 昭代 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 講師 (10136484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 美由紀 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (30156674)
古閑 一憲 九州大学, 大学院・システム情報研究院, 助教 (90315127)
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Keywords | 衛生 / 環境 / 社会医学 / インジウム / 間質性肺炎 / CIGS |
Research Abstract |
次世代太陽電池の新素材である銅-インジウム-ガリウム-セレン(Cu-In-Ga-Se : CIGS)のヒトへの健康影響に関する知見が見当たらず、早急に健康リスクについて評価する必要があると考える。そこで、CIGS粒子をラットの気管内に投与し、CIGSの経気道性曝露による呼吸器影響を中心とした評価を行った。 【実験方法】1回投与量は粒子量として0.5mg/kg(Inとして0.09mg/kg)、5mg/kg(Inとして0.9mg/kg)、50mg/kg(Inとして9mg/kg)とし、実験群として各CIGS投与量群は3群、ITO投与群1回投与量12mg/kg(Inとして9mg/kg)と対照群を加えた5群、1群15匹~17匹で構成した。ラットは8週齢より投与を初め、週2回、3回にわたって気管内投与を行い、最終投与日の翌日(0週)、1週、3週目に各群5匹~6匹ずつ安楽死させた。健康影響について評価を行った。 【結果および考察】投与期間および観察期間中の体重変化に関し、各投与群は対照群と同様の体重推移を示した。肺重量に関し、CIGS 0.5mg投与群では0週、1週目では対照群と比べて有意な増加は観察されなかったが、3週目では有意に増加した。CIGS 5mgおよび50mg投与群およびITO投与群では各評価時点の肺重量が対照群に比べて有意に増加していた。3週目ではCIGS投与群においては量依存性に肺重量が増加し、CIGS 50mg群はITO群に比べ肺重量が有意に増加した。 肺の病理変化に関し、肺炎、肺胞上皮細胞の増生、肺胞マクロファージによるCIGSやITO粒子の貪食、肺胞腔内に細胞壊死片の沈着が観察された。これらの肺病変は経時的に進展し、肺病変の程度は量-依存性に増悪した。以上の結果より、CIGSの気管内投与により肺障害が引き起こされ、急性毒性の発現を認めた。
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Research Products
(10 results)