2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19390175
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古野 純典 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 教授 (70128015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大中 佳三 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (30325518)
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Keywords | 大腸がん / 大腸腺腫 / 肥満 / 分子疫学 / 炎症 |
Research Abstract |
肥満と関連した大腸がんリスクの高まりが多くの疫学研究で指摘されているが、大腸発がんのメカニズムは定かでない。本研究の目的は、大腸発がんにおける肥満関連の分子マーカーの役割を明確にすることである。大腸がん症例対照研究(症例692名と対照779名)おいて、血漿中アディポネクチン及びDHEA-S濃度と大腸がんリスクとの関連を検討した。肥満などの大腸がん関連要因の調整の有無にかかわらず、アディポネクチンとの強い予防的関連が見られた。下位25%に対する上位25%の調整オッズ比は0.29(95%信頼区間0.21-0.40)であった。アディポネクチンと大腸腺腫との間にはほとんど関連が見られないことから(昨年度報告)、アディポネクチンが発がんへの移行を抑制しているものと考えられる。機能性が示唆されているアディポネクチン遺伝子の2つ多型を解析したが、いづれも大腸がんとの関連を示さなかった。DHEA-Sについても、男女それぞれで強い予防的関連が見られた。下位25%に対する上位25%の調整オッズ比は、男性で0.16(95%信頼区間0.10-0.27)、女性で0.13(95%信頼区間0.07-0.25)であった。DHEAとがん予防については実験的研究が先行しているが、本研究の知見はこれを支持するものである。大腸腺腫の研究では症例645例と対照635例について高感度CRP血中濃度との関連を検討した。CRP高値の者での大きな腺腫(径5mm以上)のリスクが約2倍高まっていた。炎症が大腸発がんの初期段階にも関与していることを示す知見である。また、肥満と発がん物質代謝酵素CYP2E1の機能的遺伝子多型との交互作用を検討したが、大腸がん、大腸線腫のいずれについても明らかな交互作用は見られなかった。
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