2010 Fiscal Year Annual Research Report
積極的疾病サーベイランス構築のための情報基盤整備に関する研究
Project/Area Number |
19390181
|
Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
岡本 悦司 国立保健医療科学院, 上席主任研究官 (90247974)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘 とも子 国立保健医療科学院, 上席主任研究官 (40221387)
田中 博 東京医科歯科大学, 教授 (60155158)
谷原 真一 福岡大学, 医学部, 准教授 (40285771)
|
Keywords | 疾病サーベイランス / レセプトナショナルデータベース / 新型インフルエンザ / オントロジー / ファーマコビジランス / 健康危機管理 |
Research Abstract |
本研究はもともとは2008年度の法改正により構築されたレセプトナショナルデータベースを活用することを目標としてきた。本来は2010年度が最終年度になる予定であったが,ナショナルデータベースの研究利用の開始が2011年度に遅れたことから研究期間を1年延長して研究利用申出に備えた。そのため以下に示す概要は延長された最終年度のものである。 ナショナルデータベースは2009年4月診療分以降の全レセプトが収集されていることから申出は同年に全国に流行した新型インフルエンザの流行状況と正確な患者数推計を内容として予定していた。しかし2011年度に入って提示された研究利用申出の条件によると診療日や市町村別の集計は行政機関個人情報保護法の制約からできない,という条件が示されたため断念せざるをえなかった。 このため最終年度においては,2010年度に熊本県国民健康保険団体連合会の協力で実施した調剤薬局の処方薬状況によるインフルエンザサーベイランスを追加的に実施した。ナショナルデータベースで全国的には行えなかったが,熊本県という限られた地域であっても,調剤薬局の処方状況(処方日や調剤日がレセプトで正確に把握される)を2009年から4シーズン分市町村別に日単位で把握できることを示した。 せっかく構築されたナショナルデータベースを感染症サーベイランス等に活用できなかったことは遺憾であるが,少なくとも電子化されたレセプト情報を活用することにより,少数の医療機関からの報告に依存する感染症サーベイランスよりも正確かつ日単位で患者の全数を把握できることを証明できた。全数なので,狭い地域での局地的な流行も確実に把握できる。 ナショナルデータベースについては2012年度中に法改正を含む見直しが予定されており,本研究の成果をふえま,感染症サーベイランスにも活用できるような法的整備をのぞむ。
|