2007 Fiscal Year Annual Research Report
血清DNase Iを用いた急性心筋梗塞の鑑別診断に関する法医学的研究
Project/Area Number |
19390184
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
安田 年博 University of Fukui, 医学部, 教授 (80175645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 礼子 福井大学, 医学部, 助教 (40139788)
植木 美鈴 福井大学, 医学部, 助手 (00165656)
小湊 慶彦 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30205512)
竹下 治男 島根大学, 医学部, 教授 (90292599)
河合 康幸 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40324157)
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Keywords | deoxyribonuclease I / 冠攣縮性狭心症 / 法医学 / 内因性急死 / 虚血性心疾患 / 診断マーカー |
Research Abstract |
従前の研究から、報告者らは血清deoxyribonuclease I(DNase I)が急性心筋梗塞(AMI)の超急性期や一過性心筋虚血を惹起する経皮的冠動脈形成術(PCI)施行において一過的に上昇することを見出し、血清DNase Iが一過性心筋虚血の早期診断マーカーになりうることを明らかにした。しかし、PCI施行時のバルーンによる血管障害の影響など、DNase I活性の変動が一過性虚血に起因することは必ずしも確定していない。本年度は、そのような影響のない冠攣縮誘発試験によって惹起される一過性心筋虚血に伴う血清DNase I活性の変動を精査した。 冠攣縮が誘発された患者群(VSAP-陽性群)では施行3時間後に有意な活性の上昇が観察された;施行24時間後には施行前のレベルに復帰し、その活性上昇は一過性であることが明らかとなった。DNase I活性の個人内変動に基づき算定したカットオフ値を考慮すると、陽性群のうち85%がDNase I活性上昇陽性と判定された。他方、VSAP-陰性群および冠動脈造影のみを施行された患者群全てで有意なDNase I活性の変動は観察されなかった。また、VSAP-陽性群において3時間後に上昇した血清DNase I活性レベルはVSAP-陰性のそれに比べ有意に高値を示した。なお、血清中の心筋トロポニンTレベルはいずれの群においても上昇は認められなかった。このように心筋逸脱タンパクの上昇を示さないVSAP-陽性群でのみ血清DNase I活性の上昇が認められることから、血清DNase I活性の上昇は心筋障害に起因するものではなく、冠攣縮誘発試験によって惹起された一過性心筋虚血の結果、引き起こされたものと考えられた。従って、DNase I活性は一過性心筋虚血を誘起する不安定狭心症を含む急性冠症候群の早期診断に有益な血液生化学的マーカーになり得ることが期待できた。
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Research Products
(23 results)