2009 Fiscal Year Annual Research Report
砒素中毒の病態形成の分子機構-法医分子中毒学的解明を目指して-
Project/Area Number |
19390187
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
木村 章彦 Wakayama Medical University, 医学部, 准教授 (60136611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 稔和 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70251923)
石田 裕子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10364077)
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Keywords | 砒素中毒 / IL-6 / autophagy / Stat3 / ERK / 性差 / Estrogen / 腎障害 |
Research Abstract |
21年度は20年度に投稿した砒素による腎障害におけるIL-6の保護作用に関する論文の再投稿に必要な多くの追加実験を行い、砒素による腎障害の病態形成機構へのautophagyの関わりとIL-6がautophagyを抑制する分子機構の詳細を明らかにすることが出来た。これらの結果を組み込んだ改訂稿はAmerical Journal of Pathologyに受理された。また、砒素による腎障害の性差についてもより深い分子機構の解明を目指して検討を行った。雌マウスは雄に比べて有意に高い砒素に対する感受性を示すが、その分子機構はEstrogen/Estrogen receptorのsignalがIL-6/Jak/Stat3のsignalとのcross-talkによりStat3の活性化を抑制するためであることを明らかにした。すなわち、雌マウスの腎では砒素投与後Estrogen/Estrogen receptorによりSocs3 (Jak/Stat3 signalの内在性inhibitor)の発現が著しく増加し、その結果として腎でのStat3のリン酸化が雄に比較して著明に抑制されていた。さらに、IL-6遺伝子欠損マウスでは砒素に対する感受性の性差が認められず、autophagyおよびERKの活性化に有意な性差を認めないことを明らかにした。これらのことは、砒素に対する感受性の性差はEstrogen/Estrogen receptorとIL-6/Jak/Stat3とのcross-talkが関与することを強く支持するものである。現在、培養細胞を用いた詰めの実験と論文の作成を並行して行っており、22年度中に論文として投稿する予定である。
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