Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蘆田 知史 旭川医科大学, 医学部, 客員教授 (50261409)
藤谷 幹浩 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (80322915)
大竹 孝明 旭川医科大学, 医学部, 講師 (10359490)
前本 篤男 旭川医科大学, 医学部, 客員准教授 (40400113)
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Research Abstract |
本年度の研究成果を目的別に示す. (1)腸管上皮の微生物認識機構 本年度は,炎症性腸疾患患者の腸管組織におけるOCTN2発現解析を継続し,活動期の炎症性腸疾患患者では蛋白発現が増加していることを,免疫染色,western blottingにより明らかにした.また,新規乳酸菌SB8803には腸管保護活性があり,マウス腸炎モデルにおける組織学的炎症の軽減すること,腸炎発症に伴う炎症性サイトカインの過剰発現を抑制することを明らかにした.さらに本菌の培養上清を分離・精製し生理作用を検討した結果,この生理作用を仲介する菌由来の活性物質の同定に成功した.また,この活性物質がin vitroおよびin vivoの系において,細胞防御蛋白でるHeat shock proteinの誘導作用,酸化ストレスに対する腸管保護作用を有し,実験腸炎に対する治療効果を持つことを明らかにした(特願2010-089469)(この成果の一部は現在投稿中). (2)パネート細胞に代表されるエフェクター細胞による抗菌物質の産生・分泌機構 Human defencin 5(HD5)は,腸管上皮細胞にIL-8を誘導することが明らかになった.一方,HD5の前駆体であるpro-HD5にはIL-8誘導作用は無く,サルモネラ菌や病原大腸菌に対する抗菌活性も弱いことが明らかになった.すなわち,HD5の効果発現には蛋白分解酵素(trypsin)による成熟化が必要であると考えられた(Ishikawa C, et al.J Innate Immunity, 2009).また,各種腸炎モデルにおいて,HD5の投与が炎症抑制効果を発揮することや,致死的腸炎モデルにおいて延命効果を示すことを明らかにした.
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