2007 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄腸管間を循環する腸炎惹起免疫記憶T細胞の全身播種性を制御する新規治療法の開発
Project/Area Number |
19390197
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
金井 隆典 Tokyo Medical and Dental University, 医学部附属病院, 講師 (40245478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 守 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
永石 宇司 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 寄附講座教員 (60447464)
戸塚 輝治 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (70447465)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 大腸炎 / マウスモデル / 骨髄 / 免疫記憶細胞 |
Research Abstract |
これまでの研究期間内にCD4^+CD45RB^<high> T細胞移入SCID/RAG欠損マウス大腸炎モデルを用いることによって、1)IL-7 x RAG二重欠損マウスにおいて本モデルは発症しないことより、腸炎惹起性メモリーT細胞の生存・維持にIL-7が必須であること、2)本モデルとマウス並体結合システムを用いることによって、慢性大腸炎モデルであるにもかかわらず、腸管IL-7は必須ではなく、全身性IL-7が必須であること、3)骨髄はIL-7を産生し、腸炎惹起性メモリーT細胞はIL-7産生骨髄細胞と密着し骨髄に潜在すること、4)腸管内腸炎惹起性メモリーT細胞はIL-7非依存性であるのに対して、骨髄腸炎惹起性メモリーT細胞は対照的にIL-7依存性であること、5)骨髄は無菌であるはずにもかかわらず骨髄腸炎惹起性メモリーT細胞は腸内細菌抗原に強く反応し、IFN-γ、IL-17といった腸炎に関与することが予想されるサイトカインを強く産生すること、6)大腸炎が完成した慢性期においても腸炎惹起性メモリーT細胞は活発な血行動態を維持し常に腸管-骨髄循環を展開していること、7) さらには血行動態を遮断する新規免疫調整剤FTY720が本モデルの発症を抑制することを明らかとしてきた。以上の研究成果は白血球除去療法やFTY720などの炎症性腸疾患治癒機構の解明に寄与するものであるとともに、炎症性腸疾患が腸管のみならず全身に炎症システムが拡大した白血病様の病態が関与することを示唆するものであり、今後のさらなる検討により、骨髄移植など根治を目指した治療法の開発に寄与するものと考える。
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