2007 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホリパーゼA2を基盤とする心血管病の成因解明と新しい予防・治療薬の探索
Project/Area Number |
19390209
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
久木山 清貴 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (00225129)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 健一 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (30345706)
齊藤 幸生 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (50377511)
藤岡 大佑 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (70377513)
小林 剛 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (40402052)
手塚 英夫 山梨大学, 総合分析実験センター, 准教授 (70155456)
|
Keywords | 心筋梗塞 / ノックアウトマウス / 好中球 / 分泌型ホスホリパーゼA / 炎症 |
Research Abstract |
本研究では、PLA_2の心血管病への関与を網羅的に解明し、PLA_2を標的とする有用な心血管病予防・治療薬を開発することが本研究の目的である。初年度は以下のことを明らかにし既に学会・専門雑誌に報告した。 X型secretory PLA_2ノックアウトマウスに心筋梗塞を作成し、その程度を野生型マウスと比較検討した。その結果、X型secretory PLA_2ノックアウトマウスでは心筋梗塞の範囲が有意に低下し、心臓超音波検査上も心機能の低下が抑制されていた。X型secretory PLA_2は心筋そのものには発現せず、心筋梗塞組織では心筋内に遊走している好中球に発現していることが明らかとなった。X型secretory PLA_2ノックアウトマウス由来の好中球はフリーラジカルおよび蛋白分解酵素産生・放出能、遊走能が野生型好中球に比べて有意に低下していた。その細胞生物学的機序に関して以下のことが明らかとなった。即ち、X型secretory PLA_2ノックアウトマウス由来の好中球の反応はアラキドン酸およびPMAなどの細胞表面受容体を介さない刺激には野生型と同程度の反応を示した。さらにX型secretory PLA_2ノックアウトマウス由来の好中球におけるフリーラジカルおよび蛋白分解酵素産生・放出能、遊走能を司るいくつかの分子発現には異常を認めなかった。さらにX型secretory PLA_2ノックアウトマウス由来の好中球にX型secretory PLA_2を添加すると低下した好中球活性が回復することが明らかとなった。以上より、X型secretory PLA_2ノックアウトマウス由来の好中球におけるフリーラジカルおよび蛋白分解酵素産生・放出能、遊走能の仕組み自体は変化がなく、分泌されるX型secretory PLA_2そのものが欠損しているためにX型secretory PLA2ノックアウトマウス由来の好中球では活性が低下していることが推測された。また、X型secretory PLA_2阻害剤を野生型マウスに投与することで、X型secretory PLA_2ノックアウトマウスと全く同様の知見が得られた。以上から、X型secretory PLA_2が心筋梗塞の病態に深く関与していること、好中球に存在するX型secretory PLA_2が重要であることが明らかとなった。
|
Research Products
(3 results)