2008 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホリパーゼA2を基盤とする心血管病の成因解明と新しい予防・治療薬の探索
Project/Area Number |
19390209
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
久木山 清貴 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (00225129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 健一 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (30345706)
齊藤 幸生 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (50377511)
小林 剛 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (40402052)
手塚 英夫 山梨大学, 総合分析実験センター, 准教授 (70155456)
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Keywords | 心筋梗塞 / ノックアウトマウス / 好中球 / 分泌型ホスホリパーゼA / 炎症 |
Research Abstract |
本研究では、PLA_2の心血管病への関与を網羅的に解明し、PLA_2を標的とする有用な心血管病予防・治療薬を開発することが本研究の目的である。二年目は心筋梗塞に合併するうっ血性心不全の病態における分泌型ホスホリパーゼA_2(sPLA_2)の関与とsPLA_2阻害薬の治療効果の検討し以下のことを明らかにし既に学会に報告した。 研究目的:心筋梗塞に合併するうっ血性心不全の病因・病態におけるsPLA_2の重要性およびその阻害剤の治療薬としての有用性を実証し、sPLA_2阻害剤の心血管病治療薬として臨床応用に繋げることを目的とした。方法:10〜14週の雄マウス(C57BL/6J)に対し麻酔・人工呼吸管理下で開胸、冠動脈左前下行枝を結紮することで心筋梗塞モデルを作成し、14日間飼育した。そのマウスに対し生食またはisoproterenol(ISP)10 mg/kg/hrを持続投与した。心筋梗塞後14日目のマウスに対し治療群としてsPLA_2阻害剤(LY374388)100mg/kgを腹腔投与し、1時間後にISP 10mg/kg/hrを持続投与開始、解析を行った。結果:ISP持続投与による肺うっ血の程度をsPLA_2阻害剤投与群と非投与群のlung-to-body ratioで比較したところ、治療群で有意に肺重量の低下が認められた。これらの病理組織学的観察では、未治療群において肺胞間質の浮腫、細胞浸潤、肺胞出血が認められたが、治療群ではそれらは抑制されていた。ISP持続投与し30分後のLVEDPを測定したところ、sPLA_2阻害剤投与群においてLVEDPは非投与群に対し有意に低下していた。sPLA_2阻害剤投与群および非投与群に対してISP持続投与24時間までの生存率を比較したところ、非投与群に比べsPLA_2阻害剤投与群の有意に高い生存率を示した。結論:以上よりsPLA_2が急性心原性肺水腫の病態に関与し、その阻害薬が急性うっ血性心不全に対し治療効果があることが示唆された。
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Research Products
(3 results)