2007 Fiscal Year Annual Research Report
スパイラル・リエントリーの抜錨による致死性不整脈防止技術の開発
Project/Area Number |
19390210
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
児玉 逸雄 Nagoya University, 環境医学研究所, 教授 (30124720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 香一郎 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (50194973)
本荘 晴朗 名古屋大学, 環境医学研究所, 准教授 (70262912)
佐久間 一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50178597)
芦原 貴司 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80396259)
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Keywords | 心室細動 / リエントリー / 電気的除細動 / 活動電位 / シミュレーション / 低体温 / 光学マッピング / 心臓突然死 |
Research Abstract |
本研究の目的は、心室細動・頻拍(VF/VT)の発生・維持・停止をスパイラル・リエントリーのダイナミクスの面から解析し、高電圧・高エネルギー直流通電(DC shock)に代わるVF/VTの治療技術を開発することである。 1.動物実験:ウサギ摘出灌流心臓の心室筋二次元標本における興奮波伝播ダイナミクスを、高速ビデオカメラを搭載した心筋活動電位の高分解能光学マッピングシステムを用いて解析した。今年度の研究では、心筋イオンチャネル遮断や心筋冷却による心室スパイラル・リエントリーの制御について検討した。薬物を用いて心室筋のI_kr(遅延整流K電流の活性化の速い成分)を遮断したり、心室筋の一部あるいは心臓全体に適度な可逆的冷却を加えると、心室スパイラル興奮波が心臓の特定の領域に定在化することが妨げられ(unpinning)、スパイラル興奮波の旋回中心が解剖学的非興奮障壁と衝突してリエントリーが早期に停止した。一方、高電圧DC shockによるリエントリーの停止では、活動電位の位相が揃う(phase resetting)パターンが多かった。スパイラル興奮波のunpinningを促すことにより、高電圧・高エネルギーDC shockを加えることなく、VF/VTを停止させることができる可能性が示唆された。 2.シミュレーション研究:3次元ウサギ心室筋バイドメインモデルを用いたシミュレーション実験により、DC shock波形の違いによるVF誘発性やそのメカニズムの違いを明らかにした。これは電気的除細動の低エネルギー化の鍵となる重要な概念と考えられる。
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