2010 Fiscal Year Annual Research Report
強心作用に関する新しい分子機序の解明、病態との関連解析と新しい治療法への応用
Project/Area Number |
19390211
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
伊藤 正明 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00223181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 隆二 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (60378346)
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Keywords | 心筋ミオシン / リン酸化 / ミオシン軽鎖キナーゼ / ミオシンホスファターゼ / 心不全 |
Research Abstract |
(1)心筋型ミオシン軽鎖キナーゼの解析 心筋ミオシン軽鎖キナーゼ(cMLCK)と平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(smMLCK)の心筋ミオシン軽鎖(MLC2v)に対するKm値(mM)は、各々7.44,14.2、Vmax値は各々6.06,860であり、cMLCKはsmMLCKと比較してMLC2vに対する親和性は高いものの、最大酵素反応速度は1/100であった。smMLCK活性は完全にCa2+/カルモデュリン(CaM)依存性を示すが、cMLCKはCa2+/CaM非依存性にある程度の酵素活性が見られ、その酵素活性はCa2+/CaM依存性におよそ3倍上昇した。ラット心筋培養を用いてcMLCKの発現を検討したところ、アンジオテンシンII、エンドセリン1、フェニレフリン刺激においてその発現更新が見られ、MLC2vのリン酸化レベルも上昇した。 (2)cMLCKとsmMLCKの心筋細胞における機能の解析 3種類の異なるエピトープを有する抗体作製して、心筋におけるcMLCKの発現を検討したところ、マウス、ラットではその発現が認められるが、牛、ブタ及び犬ではその発現は認められなかった。また、マウスにおいてcMLCK発現が見られない亜種(mousec/MLCK-)の存在も明らかとなった。cMLCKの発現が認められるマウス乳頭筋を用いて、そのMLC2vのリン酸化を検討したところ、ML-7,ML-9やSM-1などsmMLCK阻害薬にてリン酸化レベルの低下を認めず、これら心筋のミオシンリン酸化にはsmMLCKはほどんど関わらず、cMLCKが関与していることが示唆された。 (3)In vivoにおけるcMLCKの機能と種々の病態における役割 cMLCKを発現マウス(mouse/cMLCK+)とmouse/cMLCK-の乳頭筋組織を用いて電気刺激収縮に対する反応性を検討したところ、フェニレフリンやイソプロテレノールに対する反応性には有意な差が認めらなかった。また、高血圧モデルラットであるSHRおよびダール食塩感受性ラットの心臓におけるcMLCKの発現、MLC2vリン酸化レベルは、正常コントロールラット間に有意な差は認められなかった。
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Research Products
(9 results)