2007 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオポエチン様因子ファミリー解析による動脈硬化と肥満の共通分子病態基盤解明
Project/Area Number |
19390218
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
尾池 雄一 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (90312321)
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Keywords | 動脈硬化 / 肥満 / マクロファージ / 炎症 |
Research Abstract |
肥満に伴う脂肪組織リモデリングと動脈硬化病変で見られる血管壁リモデリングとは血球系炎症細胞浸潤、血管の新生と退縮、繊維化など組織再構築過程に酷似点が多数認められ、組織レベルのみならず分子レベルにおいても共通の機構が予想されている。これまでに我々が同定したアンジオポエチン様因子ファミリー(Angiopoietin-like protein;ANGPTL)分子の多くが代謝調節作用と血管新生作用を有することを明らかにしてきた。本年度は特にAngptl2が血管新生促進、マクロファージ及び白血球の走化性充進作用を有すること、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、脂肪細胞に豊富に発現していること、低酸素や酸化ストレスの負荷により発現が上昇すること、肥満モデルマウスでは、脂肪細胞での発現量及び血中濃度が上昇することを見出した。これらの予備的研究の知見より、Angptl2の発現上昇が肥満に伴い脂肪組織で見られるリモデリングの病態の発症・進展で悪玉因子として重要な役割を果たしている可能性を見出した。実際、Angptl2を高発現したトランスジェニックマウスでは血管新生の増加と血管内皮への白血球接着の亢進が認められた。またAngptl2を欠失したノックアウトマウスでは、肥満形成が抑制されていた。肥満や動脈硬化の病態モデルマウスと同様にヒトの病態においてもAngptl2が変動するかを検討するために、ヒト血清を用いてAngptl2濃度を測定できるELISA系の樹立するためにヒトAngptl2に対する抗体を作製中である。今後、肥満、肥満(糖尿病合併)、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)の症例で血中Angptl2濃度を測定し、その病態との関連を検討する予定である。また、Angptl2は肥満や動脈硬化において悪玉因子であることが想定されるので、中和活性を持つ抗体の作製も目指す予定である。
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Research Products
(10 results)