2008 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオポエチン様因子ファミリー解析による動脈硬化と肥満の共通分子病態基盤解明
Project/Area Number |
19390218
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
尾池 雄一 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (90312321)
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Keywords | 動脈硬化 / 肥満 / マクロファージ / 炎症 |
Research Abstract |
肥満に伴う脂肪組織リモデリングと動脈硬化病変で見られる血管壁リモデリングとは血球系炎症細胞浸潤、血管の新生と退縮、繊維化など組織再構築過程に酷似点が多数認められ、軽度慢性炎症性変化などの組織レベルのみならず分子レベルにおいても共通の機構の存在が予想される。本研究では、血管細胞と脂肪細胞から分泌されるAngptl2に焦点しAngptl2が共通の病態形成にとって重要であるかどうか検討した。まず、ヒト血中Angptl2濃度を測定できるELISAの樹立に成功した。健常人より糖尿病患者群で血中Angptl2濃度が有意に高いこと、健常人及び糖尿病患者の両群で肥満(BMIもしくは内臓脂肪面積)の程度、炎症(血中CRP濃度)の程度、インスリン抵抗性の程度に正の相関を示して血中ANGPTL2濃度が上昇することを見出した。以上よりANGPTL2と肥満、動脈硬化性疾患の連関の可能性が示唆された。次に、ANGPTL2遺伝子欠損マウスと野生型マウスの比較検討研究でAngptl2の欠損は、肥満病態でみられる脂肪組織の炎症、それに随伴する耐糖能異常、インスリン抵抗性の程度の軽減をもたらすことが明らかとなった。逆に、脂肪組織へのAngptl2の過剰発現は、野生型マウスに比較して肥満を呈することはなかったが、脂肪組織に炎症所見が認められ、耐糖能異常、インスリン抵抗性を示した。これらのAngptl2遺伝子改変マウスを用いた研究により、肥満の病態で発現が上昇するAngptl2は、肥満病態でみられる脂肪組織の炎症を惹起する重要な因子であり、発現上昇抑制が治療標的になりうることが示唆された。
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Research Products
(9 results)