2007 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠時無呼吸による低酸素ストレスは全身性炎症を惹起し動脈硬化を促進させる
Project/Area Number |
19390226
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
木村 弘 Nara Medical University, 医学部, 教授 (20195374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉置 伸二 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30347546)
友田 恒一 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (90364059)
牧之段 潔 奈良県立医科大学, 付属病院, 医員 (50382304)
吉川 推則 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80271203)
濱田 薫 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (80228535)
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Keywords | 睡眠時無呼吸 / 低酸素ストレス / 動脈硬化 / 単球 / 炎症性サイトカイン / 酸化ストレス / アディポネクチン |
Research Abstract |
閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者では心血管疾患の合併が高率に認められる。しかし粥状硬化病変の形成機序は明確にされていない。本年度はOSAS患者の夜間低酸素/再潅流ストレスが惹起する炎症過程の観点から検討を行った。(1)重症OSAS患者では炎症性メディエーターであるTNF-α、MCP-1、MMP-9等の末梢血単球による産生能はいずれも睡眠前よりも睡眠後で亢進が認められた。これらの睡眠後における産生能の亢進は年齢、BMIをマッチした対照群よりも有意に顕著であり、無呼吸低呼吸指数(AHI)などの夜間低酸素ストレスの重症度と相関を認めた。(2)マトリゲルチャンバーを実験的血管壁モデルとしてOSAS患者における末梢血単球の浸潤能を検討した。重症のOSAS患者では、睡眠前よりも睡眠後で浸潤能の亢進が認められ、睡眠後の浸潤能は年齢、BMIをマッチさせた健常対照群よりも亢進しておりAHIと正の相関を示した。(3)内臓脂肪から分泌されるアディポネクチン(APN)は、抗炎症、抗動脈硬化作用を有し、血中濃度の低下が心血管疾患の発症因子となっている。OSAS患者では血中のTNF-α濃度が健常対照よりも高値を示す一方で、APNは低値を示した。さらに、このAPNの低下は低酸素ストレスの重症度と関連を認め、低下したAPNが血中可溶性ICAM-1の増加をもたらすことが示唆された。以上述べた末梢血単球による炎症性メディエーターの産生能や浸潤能の亢進、および抗動脈硬化因子であるAPNの低下は、長期の経鼻的持続陽圧換気(CPAP)による睡眠時低酸素の解除によって、いずれも改善が認められた。本年度の研究からOSAS患者における動脈硬化の発症機序の一端が明らかとなり、CPAP治療が動脈硬化の発症・進展を予防する可能性が示された。
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Research Products
(3 results)