2008 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠時無呼吸による低酸素ストレスは全身性炎症を惹起し動脈硬化を促進させる
Project/Area Number |
19390226
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
木村 弘 Nara Medical University, 医学部, 教授 (20195374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉置 伸二 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30347546)
山内 基雄 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30405378)
友田 恒一 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90364059)
吉川 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (80271203)
濱田 薫 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80228535)
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Keywords | 睡眠時無呼吸 / 低酸素ストレス / 間歇的低酸素 / 動脈硬化 / メタボリックシンドローム / 単球 / アディポネクチン / 内臓脂肪 |
Research Abstract |
閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)では心血管疾患の合併が高率に認められる。しかし粥状硬化病変の形成機序は明確にされていない。本年度は『重症のOSAS患者では、低酸素/酸化ストレスが炎症性サイトカインの産生と相伴い増強する。さらに、脂肪細胞からのアディポサイトカイン・ケモカインの分泌障害をきたし動脈硬化の病態が進行する』との仮説をたて、その検証を行った。(1)ヒト単球細胞を用いた検討;当教室で開発した可変式の低酸素培養装置を用いて、ヒト由来の単球細胞を間歇的低酸素(IH)・持続的低酸素(SH)・室内気の各条件下で培養を行った。単球からのTNF-α産生能を測定したところ、自然産生能は各条件下で差はみられなかったが、LPS刺激下ではIH曝露群で有意なTNF-α産生能の亢進を認めた。(2)ラット由来内臓脂肪を用いた検討;IH・SHの各条件下でラット由来の内臓脂肪を培養しアディポネクチン(APN)およびMCP-1産生能を測定した。IH曝露群ではAPN産生能は有意に低下しており、MCP-1産生能は有意に亢進していた。(3)OSAS患者における血中多量体APNの検討;OSAS患者と年齢および肥満度が一致した健常群で血清中多量体APNおよび総APNを測定し、比較検討を行った。OSAS群では多量体APNは有意に低下していたが、総APNは有意差を認めなかった。また両者はともに長期CPAP治療により有意に上昇した。多量体APNは低酸素ストレスの指標と有意な相関を認めた。 本年度の研究により、OSASでみられる低酸素・再酸素化ストレスが、単球細胞からの炎症性サイトカイン産生能亢進や、内臓脂肪からのアディポサイトカイン・ケモカイン分泌障害をもたらし、動脈硬化やメタボリックシンドロームの病態形成に関与していることが明らかとなった。またCPAP治療はこれらに対する抑制効果を有することも示唆された。
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