Research Abstract |
本研究では3年の間にAss,tau,α-synucleinの抗oligomer抗体を用いて測定系を開発し,トランスジェニックモデル動物を確立し,neurotoxic oligomerの制御が可能であるかを研究した.平成21年度は神経原線維変化と脳アミロイド,神経細胞死を再現する2xTGAPP+/Tau+マウスを用いて,Ass oligomerによるtauopathy誘発機序に検討を加えた.合計で124匹の2xTgTau+/-APP+/-,1xTgTau+/-APP-/-,1xTgTau-/- APP+/-とOxTgTau-/-APP-/-を23ヶ月まで経時的に統計解析し,Ass oligomerによるGSK3βを介したtauopathy誘発作用を明らかにした.しかし,誘発には長期の時間が必要で,その効果も弱いことも明らかとなった.tauopathyモデル動物ではtau蓄積は経時的に均一に進行し,ある時点から神経原線維変化と神経細胞死を急激に発現することを明らかにしたが,これらの病態解析のためにoligonucleotide microarray解析を経時的に行い,oxidative stress,apoptosis,mitochondrial fatty acid betaoxidation,炎症反応経路,補体凝固系経路とEGFR1 pathwayなどの多数の生物学的経路(pathway)が関連しており,既知の31遺伝子発現が亢進,抑制を受けており,蛋白レベルでも確認した.特にtau蓄積から神経原線維変化,神経細胞死にはApoD,double cortinなどの神経再生に関連する分子の関与が極めて重要であることを明らかにした.現在,各種治療法によるAss,tau,α-synuclein蓄積改善とこれによる神経細胞の抑制に向けて,行動障害と病理所見の改善についての結果を解析している.
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