2008 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン病とアルツハイマー病の両疾患に共通する治療戦略論の確立
Project/Area Number |
19390234
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堂浦 克美 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (00263012)
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Keywords | プリオン病 / アルツハイマー病 / アミロイド親和性化合物 / 治療 / 病態 / プリオン / Aβ / 構造活性相関 |
Research Abstract |
本研究はプリオン病とアルツハイマー病のモデル動物で共通に治療効果を発揮するアミロイド親和性化合物Bをもとに、治療学の側面から両疾患に共通する病態発生機序の存在を検証するため、昨年に引き続き以下の研究を実施した。 構造活性相関解析 : 化合物Bの母核となる構造を持つ化合物群を、市販の各種化合物ライブラリーより入手して、プリオン持続感染細胞による評価系を用いて抗プリオン活性を検定した。またAβアミロイド-ヘパリン結合阻害活性、Aβ凝集阻害活性、凝集Aβによるグリア初代培養細胞への毒性を抑制する活性を検定した。これらの結果から抗プリオン活性や抗Aβ活性に必要な基本的化学構造を抽出した。抗プリオン活性と抗Aβ活性は必ずしも相関せず、高い抗プリオン活性にはオキサゾイル・ベンゼン構造が、高い抗Aβ活性にはピリジンのメチレン・ヒドラジン構造が必要であった。両者の構造を持つものは抗プリオン活性と抗Aβ活性の両方に優れていた。 薬物動態解析 : 代表的な有効化合物について、静脈注射後の薬物の体内動態をマウスを用いて調べた。脳および血漿より化合物濃度を測定して脳移行性に関する情報を得た。優れた抗プリオン活性と抗Aβ活性を持つものは、脳移行性に優れていた。 薬理学的解析 : プリオン病モデルマウスとアルツハイマー病モデルマウスを用いてインビボ薬効評価実験を行った。インビトロで優れた抗プリオン活性と抗Aβ活性を持つものは、インビボでも優れた治療効果を発揮した。 以上の研究から、難溶性凝集体としての物性は似ているものの、プリオンとAβでは凝集能や毒性に関与する立体的化学構造は異なっていることが明らかとなった。また、プリオンとAβの産生や病態発生には共通なメカニズムがあり、化合物Bのようなアミロイド親和性化合物はこのメカニズムを抑制することにより治療効果を発揮しているものと考えられた。
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Research Products
(15 results)