2007 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症モデルマウスにおける神経細胞死の調節機構の検討
Project/Area Number |
19390235
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
郭 伸 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 准教授 (40160981)
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Keywords | 脳神経疾患 / 筋萎縮性側索硬化症 / 運動ニューロン死 / AMPA受容体 / RNA編集 / GluR2 / ADAR2 / 動物モデル |
Research Abstract |
申請者らは,孤発性ALSにおける運動ニューロン死の分子メカニズムを明らかにするために,AMPA受容体サブユニットであるGluR2のQ/R部位RNA集を触媒するADAR2遺伝子のコンディショナルノックアウトマウス(ADAR2^<flox/flox>/VAChT-Creマウス)を作成し,ADAR2活性低下がこの部位のRNA集を消失させ,運動ニューロンに神経細胞死を起こすことを明らかにした。しかし,ADAR2遺伝子のノックアウトにより,GluR2 Q/R部位以外のADAR2基質となるRNA集部位も編集異常が生じると考えられ,神経細胞死には,GluR2の編集異常以外の因子が関与している可能性が否定できない。そのために,神経細胞死におけるGluR2 Q/R部位のRNA編集異常の役割を明らかにする目的で,このコンディショナルノックアウトマウスと,ADAR2に依らず編集型GluR2 (GluR-B_R)を発現する変異マウスとを交配して得たADAR2^<flox/fiox>/VAChT-Cre/GluR-B^<R/R>マウスで運動ニューロン死が生ずるかどうかを検討した。この変異マウスは行動異常を呈さず,6カ月齢における脊髄の組織学的検討でも前角細胞の脱落を認めなかった。このことは,ADAR2ノックアウトマウスにおける運動ニューロン死は専らGluR2Q/R部位のRNA集異常を通じていることを示している。したがって,孤発性ALS運動ニューロンに見られるGluR2 Q/R部位のRNA編集異常は運動ニューロン死の直接原因であり,ADAR2活性低下はこの部位のRNA編集異常を通じて神経細胞死を引き起こしていることが明らかになった。
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Research Products
(21 results)