2008 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症モデルマウスの免疫療法とミクログリアの病態解析についての研究
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19390240
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
漆谷 真 Shiga University of Medical Science, 分子神経科学研究センター, 助教 (60332326)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / ワクチン / ハイブリドーマ / 免疫療法 / ミクログリア / 運動ニューロン死 |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は原因不明の致死性神経変性疾患である。本研究はがALSの原因タンパクを標的とした免疫療法の開発を目指した研究である。平20年度の進捗状況は以下の通りである。 1. ワクチン療法の応用性の検討と、効果メカニズムについての研究;G93A型変異トランスジェニックマウスを組み換えG93A型SOD1,アポ型野生型SOD1でワクチン治療した結果。両者とも発症遅延、寿命延長に機能したが、アポ型野生型SOD1の方がより有意であった。ワクチンによる抗体のIgGサブクラス解析を行い、ワクチンの効果、特に発症遅延効果がIgG2bの抗体価と相関しており、IgG1とはむしろ負の相関していること発見した。現在脾臓の炎症関連物質を解析中である。 2. 変異タンパク特異認識抗体を用いた抗体療法;昨年度は変異SOD1認識モノクローナル抗体の髄腔内投与法を確立したが、本年度は、C4F6抗体の髄腔内投与を、発症後28日間の持続投与を行った。しかしながら著明な寿命延長効果は得られなかった。今後は投与期間の延長、投与時期の変更検討、と抗原部位と他のIkGlサブクラスで投与実験を行う。 3. 変異タンパク特異認識抗体を産生するハイブリドーマの、生体適合物質を用いたカプセル化細胞移植実験研究;昨年度は、アルギン酸ナトリウムを用いた微小カプセルの作成条件検討中だったが、本年度はキレート剤としてカルシウムとバリウムを用いることで剛性の強い小型カプセルの作製に成功した。さらに腹腔内投与により、血中の抗体が上昇することを確認した。しかし、ハイブリドーマの増殖がカプセル内で飽和すること、抗体価の上昇が期待したほどではない等の問題が判明し、抗体の微量浸透圧ポンプを用いた投与との利点を再検討する必要がある。 4. 選択的運動ニューロン死におけるミクログリア細胞の関与について;細胞外の変異SOD1による運動ニューロン死が、ミクログリアのCD14を介していることを解明し、現在論文投稿中である。 示す知見が得られている。以上より、平成20年度は予定通り順調に進行している。
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Research Products
(9 results)