2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規生活習慣病改善転写因子TFE3の多面的代謝作用機構の解析
Project/Area Number |
19390245
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
島野 仁 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (20251241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 嘉 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (80361351)
松坂 賢 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (70400679)
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Keywords | 生活習慣病 / 転写因子 / 糖尿病 |
Research Abstract |
我々は最近、インスリン抵抗性や、メタボリックシンドローム病態を改善させる新規の転写因子TFE3を発見した。このbHLH型転写因子は、肝臓で過剰発現するとSREBP-1cと拮抗しながらIRS2発現の亢進をはじめとして、肝臓のインスリンシグナルに関連する諸分子を活性化してインスリン作用を増強する因子であることがわかった。その結果TFE3を糖尿病モデル動物の肝臓において活性化すると、血糖を改善する一方,脂質合成は抑制し、タンパク合成は亢進というユニークな作用を発揮した.このようにTFE3に代謝全般,特にメタボリックシンドロームの病態を改善させる効果が示された。他のエネルギー臓器への作用の検討が重要であり本研究では、脂肪組織、骨格筋におけるTFE3の内因性制御と作用メ力ニズムの解析を目的とし、アデノウイルスを用いた骨格筋、脂肪細胞系の培養細胞における過剰発現ならびに、骨格筋、脂肪特異的なTFE3過剰発現マウスの作製、解析を行うことした。 本年度行ったアデノウィルスを用いたin vitro系における過剰発現実験の検討によれば、TFE3は骨格筋細胞や脂肪細胞への分化にむしろ抑制的に働く事がわかった.そのメカニズムとして各組織の分化誘導に必要な転写因子群の発現抑制を認めた.また脂肪分化抑制にはHIF1αの誘導が関与しているようである.またTFE3過剰発現は、肝臓同様に骨格筋においてもグリコーゲン合成系に関わる酵素を顕著に活性化させグリコーゲンが蓄積することを観察している.脂肪組織、骨格筋におけるTFE3のトランスジェニックマウスを作成終了して、現在その表現系を解析中である。
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