2007 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓における糖脂質代謝関連遺伝子の発現制御機構の解析
Project/Area Number |
19390250
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小川 渉 Kobe University, 医学系研究科, 准教授 (40294219)
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Keywords | 転写因子 / KLF15 / 糖新生 / 糖尿病 |
Research Abstract |
転写因子KLF15の糖新生系酵素遺伝子の発現制御における機能について解析した。培養肝細胞にアデノウイルスベクターを用いてKLF15を強制発現すると糖新生系酵素遺伝子に加えて、アミノ酸異化系酵素の遺伝子発現が増強した。培養肝臓細胞にcAMPを作用させると、糖新生系酵素遺伝子の発現は増強するが、shRNAを用いてKLF15の発現を培養肝臓細胞で抑制した細胞では、cAMP依存性の糖新生系酵素遺伝子発現増加作用は著しく抑制された。転写コアクチベーターであるPGC1αは、糖新生系酵素の発現制御に関わることが知られているが、細胞内でPGC1αとKLF15は結合すること、PGC1αとKLF15を同時に強制発現すると、糖新生系酵素遺伝子の発現が相乗的に刺激された。以上の結果からPGC1αとKLF15は協調して糖新生系酵素遺伝子の発現を誘導すると考えられた。肥満2型糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウスの肝臓ではKLF15の発現が増強しているが、shRNAを用いて肝臓特異的にKLF15の発現を抑制すると、db/dbマウスの肝臓のKLF15の発現が糖新生系酵素遺伝子やアミノ酸異化系酵素遺伝子の発現は低下し、それに伴って糖新生の抑制と血糖の低下を認めた。また抗糖尿病薬であるメトホルミンは糖新生系酵素の遺伝子発現を抑制することが知られている。培養肝細胞にメトホルミンを作用させると、KLF15の発現も低下した。以上の結果から、KLF15は糖新生系酵素遺伝子とアミノ酸異化系酵素遺伝子の生理的な発現制御因子であり、2型糖尿病治療の標的分子として有用であると考えられた。
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Research Products
(1 results)