2008 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン抵抗性に対する膵β細胞量調節の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
19390251
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
寺内 康夫 Yokohama City University, 医学研究科, 教授 (40359609)
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Keywords | インスリン / インスリン抵抗性 / 高脂肪食 / 妊娠 / 糖尿病 / カルモデュリンキナーゼ |
Research Abstract |
高脂肪食誘導性膵β細胞過形成の分子機構の解明に関して、IRS-2発現上昇が膵β細胞量増加の鍵であることを明らかにした。高脂肪食下でのIRS-2発現上昇のメカニズムに関し、糖代謝とCREB、IRS-2を結びつけるカルモデュリンキナーゼ(CaMK)の役割を検討している。 グルコキナーゼ活性化が高脂肪食に伴うインスリン抵抗性下で治療上重要であると考え、グルコキナーゼ活性化薬(GKA)の膵β細胞量に及ぼす影響を検討した。GKAは濃度依存性にINS-1細胞を増殖させ、IRS-2発現を上昇させた。グルコキナーゼヘテロ欠損マウス、野生型マウスに高脂肪食あるいはGKA含有高脂肪食を負荷したところ、両マウスともにGKA投与により耐糖能改善を認めた。高脂肪食20週負荷後の膵β細胞量は両マウスともGKA投与有無で差を認めなかったが、高脂肪食20週負荷後のGKA短期投与で、膵β細胞増殖能が明らかに亢進している個体を認めた。以上よりGKAは膵β細胞増殖作用を有することを明らかにした。 野生型メスマウスおよびグルコキナーゼヘテロ欠損メスマウス、IRS-2欠損メスマウスの非妊娠時、妊娠期の耐糖能、β細胞量、β細胞機能を経時的に検討し、妊娠時の膵β細胞増加過程にグルコキナーゼ、IRS-2非依存性経路が存在することを見出した。野生型マウス、グルコキナーゼ欠損マウスの妊娠中の膵β細胞での遺伝子発現変化を非妊娠時と比較するため、DNAチップ解析を行った。高脂肪食負荷時の遺伝子発現変化とあわせて比較すると、高脂肪食では発現が変化しないものの妊娠時に発現が上昇する遺伝子群を見出し、その病態生理学的意義を検証中である。
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