2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19390256
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
児島 将康 Kurume University, 分子生命科学研究所, 教授 (20202062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 貴弘 久留米大学, 分子生命科学研究所, 講師 (50368883)
井田 隆徳 久留米大学, 分子生命科学研究所, 助教 (00381088)
矢野 正二郎 久留米大学, 医学部, 講師 (00200551)
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Keywords | グレリン / ノックアトマス / 自律神経 / 血圧 / 体温 / 消化管運動 |
Research Abstract |
摂食促進ホルモンのグレリンについて,グレリン欠損マウスを作成し,その遺伝的背景をC57BL/6Jに整えた上で摂食行動などの解析を行った。グレリン欠損マウスは致死性でなく,形態的な異常は見られない。野生型マウスとグレリン欠損マウスの比較において,体重と積算摂食量に差は認められず,摂食行動の日内リズムや,制限給餌による摂食量,餌探し課題による学習記憶能にも差は認められなかった。グレリン欠損マウスに関してはすでに米国のグループが欠損マウスの作製と表現型の解析を行っており,いくつかの論文も発表されている。しかし,いずれのグループも目立った表現型を観察していない。われわれの検討でも,欠損マウスの体重,摂食量,行動に目立った変化はなかった。これはグレリンの摂食亢進作用の欠落を補うような機構が,生体内にあることを示している。つまり食欲の刺激はグレリンが単独で行っているのではなく,複数の因子が関与したものと考えられる。そのためグレリンが欠損しても,バックアップの因子がうまく食欲、摂食行動を調節して食欲の低下、消失を防止し,それによる栄養不良や死ぬことがないようにしていると考えられる。 一方,非侵襲的に血圧、心拍数、体温などの自律神経機能を調べた結果,グレリン欠損マウスは血圧不安定,体温維持機構の異常,消化管運動の低下,血圧、体温の日内リズム異常など,自律神経系の異常を示すことが明らかになった。中枢性摂食異常症の患者においては単に摂食障害だけでなく,その他の様々な異常を訴える。これらは血圧、体温、消化管機能などの自律神経系の異常が多く,今回のグレリン欠損マウスの表現型との関連が興味深い。
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Research Products
(4 results)