2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19390258
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
千葉 滋 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (60212049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 麻実子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (80451805)
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Keywords | 遺伝子 / 白血病 / 細胞環境 / 遺伝子異常 / Notch / Hes |
Research Abstract |
腫瘍細胞内のNotchシグナル亢進による腫瘍化の命子基盤を分析するとともに、生体内の腫瘍細胞環境でNotchシグナルが果たす役割を明らかにすることを目的とした本研究で以下の実績を得た。 (1)慢性骨髄性白血病(CML)原因キメラ遺伝子BCR-ABLを造血幹細胞に発現させて同系マウスに移植するとCML様病態でマウスは死亡するが、BCR-ABLを骨髄系前駆細胞(CMP/GMP)に発現させ同様に移植しても正着せず白血病は発症しない。しかしNotch標的遺伝子HeslをBCR-ABLとともにCMP/GMPに発現させ移植すると、CML急性転化(BC)ないし急性白血病(AML)様病態でマウスは死滅した。以上から、Heslの分化抑制能がCMP/GMPの白血病幹細胞化の一要素であると判明した。(2)ヒト急性リンパ性白血病(T-ALL)の多くではNotch1遺伝子の活性化型変異があり、リガンド非依存性に、しかしNotch活性化に必須の酵素γ-secretase依存性に、Notch1を介するシグナルが活性化される。従ってγ-secretase阻害剤(GSI)はNotch遺伝子活性化型変異を有するT-ALLのN。tchシグナルを阻害する。Notch1変異を有するヒトT-ALL細胞株DND-41を免疫不全マウス皮下に移植するモデルでは、GSI投与により腫瘍が退縮する。GSIによる腫瘍退縮の機序を解析したところ、腫瘍細胞内在性のNotchシグナル抑制による直接的抗腫瘍効果だけでなく、ホストの腫瘍血管新隼に必要なNotchシグナルを抑制することによって、間接的に抗腫瘍効果を高めることによって、強力な腫瘍退縮効果を示すことが示された。
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