2008 Fiscal Year Annual Research Report
血球転写因子による白血病幹細胞の自己複製制御メカニズムの解明と治療への応用
Project/Area Number |
19390259
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中島 秀明 Keio University, 医学部, 講師 (30217723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 俊雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20282527)
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Keywords | 白血病 / 幹細胞 / 自己複製 / C / EBPα / PU.1 |
Research Abstract |
本年度は白血病幹細胞(LSC)の生成・維持、とくにLSCの自己複製メカニズムにおけるC/EBPα, PU.1の役割を明らかにする目的で、H19年度に作成した白血病モデルを用い研究を行った。 まずAML1-ETO, MLL-ENL, MLL-Septin6遺伝子をそれぞれレトロウイルスによりマウス骨髄細胞に感染させトランスフォームした。これをメチルセルロース中で培養すると白血病コロニーを形成したが、これらの細胞にレトロウイルスでPU.1-ERを導入し、活性を4-hydroxy tamoxyfen (4-HT)で誘導するとコロニー形成は完全に抑制された。しかし興味深いことにC/EBPα-ERを用いて同様の実験を行うと、AML1-ETOではPU.1同様コロニー形成が抑制されたものの、MLL-ENL, MLL-Septin6ではコロニー数の減少をみたのみで消失は認めなかった。 続いてこれらの細胞を放射線照射したマウスに移植し、in vivoでの白血病発症を観察した。MLL-ENLを発現させたマウス骨髄細胞をマウスに移植し白血病を発症させた後、骨髄から白血病細胞を採取、C/EBPα-ERあるいはPU.1-ERウイルスを感染させ、4-HT存在下で数日培養した。この細胞を放射線照射したレシピエントマウスに2次移植し、白血病の発症を観察したところ、C/EBPαの活性を誘導した細胞ではコントロール同様の白血病発症を認めたのに対し、PU.1活性を誘導した細胞では発症が完全に抑制された。 これらのことから、MLL-ENLによりトランスフォームされたLSCはPU.1活性を誘導することにより白血病発症能を失うこと、すなわちLSC活性を失うことが明らかとなった。このことは、PU.1がMLL-ENL白血病のLSCがもつ自己複製能を抑制することを示している。
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