2007 Fiscal Year Annual Research Report
転写制御因子を介した造血幹細胞と白血病幹細胞の制御機構の解析
Project/Area Number |
19390268
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
北林 一生 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 分子腫瘍学部, 部長 (20261175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山形 和恒 国立がんセンター研究所, 分子腫瘍学部, 研究員 (70311412)
勝本 拓夫 国立がんセンター研究所, 分子腫瘍学部, 研究員 (50469970)
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Keywords | 造血幹細胞 / 白血病 / MOZ / PU.1 |
Research Abstract |
MOZ遺伝子は、急性骨髄性白血病(AML)でみられる染色体転座により融合遺伝子を生じる。MOZ欠損マウスを作製し、MOZが造血幹細胞の形成及び維持に必須であることを明らかにした。MOZは造血幹細胞の形成維持に必要な転写因子AML 1、PU.1及びc-MYBと結合して、これらの標的遺伝子の転写を活性化したことから、MOZはこれらの転写因子を介して造血幹細胞を制御していることが示唆された。また、MOZ欠損マウスでは造血幹細胞の形成維持や増殖に重要なHoxA9,c-Kit,c-mpl(TPO受容体)の発現が低下していたことから、MOZはこれらの発現制御を介して造血幹細胞の形成維持を制御している可能性が考えられた。一方、AMLで見られる染色体転座の結果生じるMOZ-TIF2遺伝子を造血幹細胞・前駆細胞に導入した後、放射線照射したマウスに移植したところ、AMLを発症した。この白血病発症マウスの骨髄細胞をさらに別のマウスに移植すると白血病を発症することから、白血病発症マウスの骨髄中には移植可能な自己複製能力を持つ白血病幹細胞が存在することが示唆された。白血病発症マウス骨髄では、Mac1陽性の単球の増加が見られる他に、骨髄前駆細胞様の芽球が異常増殖していた。同様な単球及び芽球の増加はMOZ欠損マウス胎仔肝臓でも見られることから、MOZ-TIF2は正常なMOZの機能に影響していることが予想された。MOZ融合タンパク質はMOZと同様にAML1及びPU.1と結合しPU.1依存的な転写を誘導した。PU.1の発現を低下させた変異マウスではAMLが発症することやヒト白血病でAML1の変異が高頻度に見られることから、MOZ-TIF2による白血病発症にはPU.1やAML1の機能異常が関与する可能性が示唆される。
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