2009 Fiscal Year Annual Research Report
LFA-1による自己反応性Th17細胞の分化・活性化・維持メカニズムの解析
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19390270
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渋谷 和子 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (00302406)
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Keywords | 臨床免疫学 / Th17細胞 / LFA-1 / 自己免疫疾患 / 自己反応性T細胞 |
Research Abstract |
最近の研究により、多くの自己免疫疾患においてTh17細胞が重要な役割をはたしていることが明らかになった。一方、私達はLFA-1が自己免疫疾患において生体内自己反応性Th17細胞の絶対数に関与していることを見いだした。しかし、LFA-1がどのようにしてTh17細胞と関係しているのか、そのメカニズムは全く不明であった。 本研究では、Th17細胞の分化、活性化、維持におけるLFA-1の機能を明らかにすることを目的として、LFA-1遺伝子欠損(KO)マウスに実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を誘導し解析を行った。その結果、LFA-1 KOマウスでは、EAEの所属リンパ節へのT細胞の流入が著しく障害されていることが判明した。また、所属リンパ節における自己反応性Th17細胞の絶対数とCD4^+T細胞に対する比率が、LFA-1 KOマウスではともに低値を示した。絶対数のみならず比率も低下している事実は、LFA-1 KOマウスにおけるTh17細胞の減少がリンパ節に流入してくる自己反応性ナイーブT細胞の数の減少だけでは説明がつかず、LFA-1がリンパ節内で自己反応性Th17細胞の分化や活性化に関与している可能性が示唆された。そこで、LFA-1 KOマウス由来のCD4^+ナイーブT細胞を中立条件で刺激した。その結果、LFA-1欠損CD4^+ナイーブT細胞から分化するTh17細胞の数は著しく減少していた。次に野生型マウスのCD4^+ナイーブT細胞を抗CD3抗体単独または抗LFA-1抗体とともに刺激し比較検討したが、Th17分化に差は認められなかった。一方、分化後のTh7細胞を抗CD3抗体単独または抗LFA-1抗体とともに刺激すると、Th17細胞の著しい増殖を認めた。これらの結果より、LFA-1刺激が直接Th17分化の選択刺激とはならず、むしろTh17分化後の増殖や活性化に関与していることが示された。
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Research Products
(11 results)