2008 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析によるネフローゼ症候群の病因・病態の解明
Project/Area Number |
19390281
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五十嵐 隆 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 教授 (70151256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
開根 孝司 東京大学, 医学部・附属病院, 准教授 (50255402)
張田 豊 東京大学, 医科学研究所, リサーチフェロー (10451866)
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Keywords | プロテオーム / ネフローゼ / 細胞内情報伝達 / ネフリン / ポドサイト |
Research Abstract |
小児ネフローゼ症候群の発症機序について解析し、以下の結果を得た。 培養糸球体上皮細胞をvanadateで刺激し、NephlがSrc family kinaseによりリン酸化される。Fynによりリン酸化されるNephlのチロシン残基(Y604,Y637,Y638,Y654おおびY657)を同定した。アダプター蛋白質Grb2およびチロシンキナーゼCskがリン酸化Neph1に特異的に結合した。Neph1とGrb2の結合はY637およびY638のリン酸化を介する。プロタミン硫酸の投与でNeph1が著明にリン酸化を受け、Y637のチロシン残基がin vivoでリン酸化を受ける。Neph1Y637のリン酸化はGrb2の結合を介してRas-ERK経路に対して抑制的であった。以上より、糸球体上皮細胞.傷害時にNeph11がin vivoでリン酸化を受け、その下流で細胞内シグナル伝達を制御する事が明らかとなった。さらに、リン酸化Nephrinに特異的に結合する蛋白質としてPLC-g1を同定した。PLC-g1は糸球体では糸球体上皮細胞に昨常に高発現していた。PLC-g1はそのSH2ドメインを介してNephrinのY1204のリン酸化に特異的に結合する。また、Nephrin pY1204の特異的なリン酸化を介してNephrinの近傍にPLC-g1がリクルートされ、NephrinY1204のリン酸化によりPLC-glが活性化される。ネフローゼ発症モデル動物(プロタミン硫酸腎症)にて、NephrinY1204の著明なリン酸化、およびPLC-g1の細胞膜へのリクルート、さらにPLC-g1の活性化が生じる。さらにNephrinのリン酸化が糸球体上皮細胞のカルシウムシグナルと直接関係する。 本研究により、糸球体上皮細胞の傷害時にNephrinやNephlの細胞内領域がリン酸化を受け、その下流で多くのシグナル伝達を制御する事が明らかとなった。
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Research Products
(5 results)