2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経芽腫の新規ディペンデンス受容体の同定および機能解析と治療法開発への応用
Project/Area Number |
19390289
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
中川原 章 Chiba Cancer Center (Research Institute), 研究局, 研究局長 (50117181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 洋子 千葉県がんセンター(研究所), 生化学研究部, 主席研究員 (60260254)
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Keywords | 依存性受容体 / Unc5H / 細胞死 / 自然退縮 / 神経芽腫 |
Research Abstract |
我々が独自に作製した神経芽腫cDNAライブラリーから同定した神経芽腫関連依存性受容体として、NLRRファミリーとUNC5ファミリー受容体の解析を行った。その結果、以下のことが明らかになった。(1)NLRR1は、これまで既知の受容体シグナルのうち、EGFやIGFなど細胞の増殖を促進するシグナルを増強する機能があることが判明した。一方、分化誘導に関わる受容体シグナルについては、その効果は明らかでなかった。また、NLRR1はMYCNがん遺伝子産物の直接の転写ターゲットであることを明らかにした。NLRR3はNLRR1とは逆に、神経芽腫細胞の分化を誘導し、とくにレチノイン酸による分化誘導の際にはNLRR3が発現上昇し、MYCNが低下した。詳細な解析の結果、MYCNがMiz1を介してNLRR3の転写を直接抑制していることを明らかにした。(2)100例の神経芽腫検体を用いて定量的real-timeRT-PCRを行い、4つのUNC5/Unc5Hファミリー遺伝子の中で、UNC5D/UncsH4のみが神経芽腫の予後の良さと有意に相関していることを明らかにした。このことは、免疫組織化学により、腫瘍中の蛋白質発現についても証明された。一方、リガンドであるNetrin-1に関しては、臨床病期との相関がなく、予後とも無関係であった。また、UNC5Dがp53の直接の転写ターゲットであることを明らかにした。コロニー形成能試験からは、神経芽腫細胞においてはUNC5Dが機能する下流においてもp53が関与していることが示唆された。さらに、UNC5Dの細胞内領域がcaspaseによって切断され、細胞死シグナルを増強していることが明らかになった。UNC5Dノックアウトマウスの作製が成功し、機能的な解析を開始した。
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