2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳微細環境分子を用いたオリゴデンドロサイトの機能制御と未熟児脳障害治療法の開発
Project/Area Number |
19390292
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
大平 敦彦 Aichi Medical University, 客員教授 (20101074)
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Keywords | オリゴデンドロサイト / 脳周囲白質損傷(PWMI) / コンドロイチン硫酸 / プロテオグリカン / 低酸素虚血 / 未熟児 / 脳障害 / 子宮内胎児発育遅延 |
Research Abstract |
本研究の最終目標は、未熟児に高頻度に起き、オリゴデンドロサイト前駆細胞の変性が原因とされる脳室周囲白質損傷(PVMI)の新たな治療法を開発することである。この目標に向かって、本年度は以下の成果をあげた。 1.オリゴデンドロサイト前駆細胞の微細環境分子としてのコンドロイチン硫酸糖鎖 PWMIが起きやすいヒト妊娠24〜32週の脳は、ラットでは生後2〜3日の発達段階に相当するといわれている。そこで、生後0〜9日齢のラット脳から作製した凍結切片を、オリゴデンドロサイトの分化段階特異的抗体で染色した。同時に、コンドロイチン硫酸糖鎖抗体や各種脳特異コンドロイチン硫酸プロテオグリカン抗体でも染色した。その結果、オリゴデンドロサイト及びその前駆細胞が分布する領域の多くに、コンドロイチン硫酸が分布していることが明らかとなった。 2.未熟児脳障害モデルとしての子宮内胎児発育遅延ラットの作製 PWMI動物モデルとしては、生後3日齢ラットに低酸素虚血負荷をかけて作製するものがあるが、今回、別の原理による未熟児脳障害動物モデルを作製し、病態比較を試みた。ラット母獣に妊娠13〜21日の期間、血管収縮剤であるトロンボキサンA2を連続投与したところ、低出生体重仔が得られた。この仔の大脳では、対照と比較してコンドロイチン硫酸プロテオグリカン含量が少なかった。また、脳組織をTUNEL染色したところ、死細胞が多いこともわかった。この死細胞の種類、例えばオリゴデンドロサイト関連細胞であるのかは、今後の研究課題である。
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