2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳微細環境分子を用いたオリゴデンドロサイトの機能制御と未熟児脳障害治療法の開発
Project/Area Number |
19390292
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
大平 敦彦 Aichi Medical University, 客員教授 (20101074)
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Keywords | オリゴデンドロサイト / 脳室周囲白質損傷 / 低出生体重 / 多動 / 神経幹細胞 / コンドロイチン硫酸 / 虚血再灌流 / 低酸素 |
Research Abstract |
本研究の最終目標は、オリゴデンドロサイト(ODC)前駆細胞の変性が原因とされる脳室周囲白質損傷の新たな治療法を開発することである。この目標に向かって、最終年度は以下の成果をあげた。 1.胎児虚血-再灌流モデルラットの病態解析 妊娠16日に子宮動静脈を一過性に結紮したラット母獣を自然分娩させたところ、低出生体重ラットが得られた。このラット新生仔の脳では、大脳皮質灰白質にTUNEL陽性細胞が多数検出された。また、生後2週齢で行動観察を行ったところ多動傾向が認められた。 2.神経系細胞の分化とコンドロイチン硫酸(CS)糖鎖構造 神経細胞とアストロサイトは、いずれも神経幹細胞から分化するが、それぞれの細胞が産生するCS糖鎖構造を推定するため、それぞれの細胞の純粋培養系を調製し、CS糖鎖の合成に関わる各種酵素の発現量をRT-PCR法により比較した。神経幹細胞に比べて、いずれの細胞とも、イズロン酸を含む高硫酸化糖鎖の合成に関わる酵素の発現が高いことがわかった(獨協医大・山内忍博士との共同研究)。今後、ODCの純粋培養系においても、同様な解析を行い、ODCが合成するCS糖鎖の構造を推定する。 3.CS糖鎖が神経系細胞の分化や生存維持に及ぼす効果 胎生14日ラット胎仔脳から調製した神経幹細胞の分化誘導実験系に、脳に多く存在するコンドロイチン4硫酸(CS-A)を添加して7日間培養したが、全細胞におけるODC前駆細胞の割合(~22%)に変化はなかった。また、分化誘導実験条件で7日間培養した細胞群を、2時間、低酸素/無グルコース培養したとき、増殖因子FGF-2やPDGF存在下では、細胞の生存維持効果が認められたが、CS-Aには有意な生存維持効果は認められなかった。
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Research Products
(5 results)